【申請書作成3】DIPS2.0で「機体・操縦者概要」の入力を行う。

前回の【申請書作成2】DIPS2.0で飛行場所や申請先などの「飛行詳細」の入力を行うでは、飛行場所をどうするか等を記入しました。

ここでは「機体」や「操縦者」の選択、「追加の安全対策」について記載します。

機体を申請書に追加する


▲「機体選択」をクリックします。

▲プルダウンメニューから機体を選択し、「機体追加」をクリックします。

【もしもプルダウンメニューから機体を選択できない場合】

プルダウンメニューに機体が表示されない場合は、DIPS2.0と機体連携ができていない可能性が考えられます。

DIPS2.0に機体情報を登録する方法を参考に機体の連携を行いましょう。

追加基準を設定する

取得したい許可の内容に応じて、機体に求められる追加基準が異なります。

ここでは、その追加基準に適合していることを確認し、設定します。


▲許可承認の種類により「追加基準」ボタンがありますので、クリックします。

少し横にスクロールしないと見えないです。

【追加基準】高度150m以上、空港周辺の場合

航空機からの視認をできるだけ容易にすることが必要となります。

条件としては大きく分けて、以下の2つに分類されます。

  • 灯火を装備している。
  • 認識しやすい塗色を行っている。

それぞれ国交省が確認した機体の場合は、証明資料の省略ができます。

国交省が確認した機体かどうかはこちらを参照してください。

【確認した飛行形態の区分Aの記載がある場合】資料の省略ができます。
【確認した飛行形態の区分Aの記載がない場合】上記条件を満たしていることを写真で説明します。

【追加基準】人口集中地区、30m接近飛行の場合

物件に接触した際の危害を軽減する構造を有することが必要となります。

条件としては大きく分けて、以下の2つに分類されます。

  • プロペラガードを有している。
  • 有していない場合はそれを補うための安全対策をする。

それぞれ国交省が確認した機体の場合は、証明資料の省略ができます。

国交省が確認した機体かどうかはこちらを参照してください。

確認した飛行形態の区分C、C1の記載がある場合資料の省略ができます。
確認した飛行形態の区分C、C1の記載がない場合プロペラガードの取り付け写真を添付します。

ただし、「プロペラガードを装備して飛行させる。」をチェックした場合は、プロペラガードを取り外すことができません。

実務上、プロペラガードを装備させると、風などの影響を受けやすくなり、飛行性能に影響を及ぼす恐れがあるため、注意が必要です。

弊所では状況に応じてプロペラガードを取り外せるように、付ける付けないの両方で、申請しておりますので、お気軽にお問合せください。

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【純正のプロペラガードでも改造にあたる機体があります】

国交省が確認した機体の一覧にC、C1の記載がない機体は、たとえ純正のプロペラガードを利用する場合でも改造申請が必要になります。

  • DJI MINI 3 PRO
  • INSPIRE 1 V2.0
  • INSPIRE 2

▲純正のプロペラガードでも、改造申請が必要な機体の代表例


▲プロペラガードを装着した画像は、「選択」ボタンからアップロードが可能です。

【追加基準】夜間飛行の場合

無人航空機の姿勢及び方向が正確に視認できるよう灯火を有していることが必要となります。

それぞれ国交省が確認した機体の場合は、証明資料の省略ができます。

国交省が確認した機体かどうかはこちらを参照してください。

ただし、灯火を有していない場合であっても、飛行範囲が照明等で十分照らされている場合は基準を満たしているとみなされます。

確認した飛行形態の区分Bの記載がある場合資料の省略ができます。
確認した飛行形態の区分Bの記載がない場合灯火を装備している写真を添付します。
灯火を装備していない場合灯火を装備していないが、無人航空機の飛行範囲が照明等で十分照らされていることを示す資料を添付します。

【追加基準】目視外飛行の場合

目視外飛行を行うには、以下の要件を満たした機体である必要があります。

  • 機体にカメラが設置されていること
  • カメラから映像がプロポの画像やPC等に表示されていること
  • 機体の位置や異常の有無等がPC等に表示されること
  • 電波等の不具合発生時に危機回避できる機能等が作動すること

それぞれ国交省が確認した機体の場合は、証明資料の省略ができます。

国交省が確認した機体かどうかはこちらを参照してください。

国交省確認機体の表示こんなときチェックする場所
確認した飛行形態の区分E注2の記載があるメーカーが指定する自動操縦システム(GSPRO、DJI PILOT等)しか利用しない場合
▲ここにチェックすることで、写真等の資料の省略ができます。
DJIGO4やDJI Flyは国交省が確認したシステム(アプリ)ではないので、ここにチェックをつけるとそれらは利用できなくなります。
確認した飛行形態の区分E注2の記載はあるが、注2に記載がある確認済みシステム(アプリ)を利用しないGSPROやDJI PILOT等の自動操縦システムは利用しないが、DJIGO4やDJI Flyなど、国交省が確認していないシステム(アプリ)を利用する場合▲ここにチェックを付け、要件を満たしていることを証明する資料の添付が必要です。
確認した飛行形態の区分E注2の記載がないMINI 3 PROやMINI2、Air 2Sなどは区分E注2の記載がないので、ここに該当【自動操縦システムを装備していない場合】

▲ここにチェックを付け、要件を満たしていることを証明する資料の添付が必要です

または

【自動操縦システムを装備している場合】


▲ここにチェックを付け、要件を満たしていることを証明する資料の添付が必要です
【おすすめ】
その他
国交省が確認したメーカー指定の自動操縦システム(GSPRO、DJI PILOT等)も、確認されていないシステム(DJIGO4やDJI Fly)も利用する場合
▲その他にチェックし、それぞれ場合分けをして記載します。

当事務所では、この項目は「その他」をチェックし、「GS PROやDJI PILOT」「DJI GO4(DJI GO)やDJI Fly」など利用する可能性があるシステムを場合分けして記載し、すべて利用できるよう申請をしています!

メーカーが指定する自動操縦システムとは

メーカーが指定する自動操縦システムとは、「GSPRO」や「DJI PILOT」などのアプリケーションです。

メーカーが「国交省さん、この機体と自動操縦システム(アプリ)で、審査要領上、問題ない確認してください」と申し出ることで、申請者側の写真添付を不要とし、負担を軽減すること目的です。

しかしながら、それぞれ機体毎に指定がありますので、一概に「GSPROやDJI PILOT」を利用するからといって、資料が省略できるというわけではありません。

国交省確認機体リストの11ページに各機体とそれに対応する自動操縦システムの一覧があるので、ご自身の利用する機体とアプリが資料の省略できる機体かチェックしましょう。

資料の一部を省略できる機体のリスト(国交省HPより)

国交省確認機体リストの11ページの記載ですが、「DJI GO4(DJI GO)」や「DJI Fly」の記載はないことがわかります。

つまり、「DJI GO4(DJI GO)」や「DJI Fly」は自動操縦システムとして国交省は確認していないシステム(アプリ)となります。

【なぜDJIはDJIGO4アプリやDJI Flyを国交省に届け出なかったのか】

国交省が「資料の省略できる自動操縦システム」として認めるには以下の要件を満たす必要があります。

  •  自動操縦により安定した離陸、飛行、着陸を連続して行うことができる。
  •  自動操縦の実行中に操作介入することができる。

このうち、DJIGO4やDJI Flyでは、「離着陸」については別途タップ操作又は手動操作を行う必要があるため、上記要件に適合しません。

以上より、資料の省略できる自動操縦システムの要件を満たさないため、届出をしなかった(弾かれた)ものと思います。

また「GS PRO」は現在「iPad」のみで利用できるもので、「iPhone」や「Androidスマートフォン」では利用することができません。

せっかく許可を取得したのに、思わぬ法令違反をしてしまわないよう注意しましょう。

アプリ詳細
画像
GS PRO
・国交省が確認した自動操縦システム
・対応デバイス:iPad Air、Air 2、Mini 2、Mini 3、Mini 4、iPad Pro(Android,iPhoneには対応していません。)

【アドバイス】
「確認した飛行形態の区分E注2の記載がある場合」かつ「DJI GO4(DJI GO)、DJI Fly等は利用せず、必ずGS PROを利用する場合」は「メーカ指定の自動操縦システム及び純正のカメラを装備している」にチェックしてもOK

DJI PILOT
・国交省が確認した自動操縦システム
・対応デバイス:Android、ios(Mavic 2 Enterpriseシリーズのみ)

【アドバイス】
「確認した飛行形態の区分E注2の記載がある場合」かつ「DJI GO4(DJI GO)、DJI Fly等は利用せず、必ずDJI PILOTを利用する場合」は「メーカ指定の自動操縦システム及び純正のカメラを装備している」にチェックしてもOK
画像
DJI GO 4(DJI GO)
・国交省が確認していない自動操縦システム
・対応デバイス:Android、ios

【アドバイス】
「確認した飛行形態の区分E注2の記載がある場合」でも、「DJI GO4(DJI GO)を利用する場合」は「メーカ指定の自動操縦システム及び純正のカメラを装備している」にチェックしてはダメ。

DJI Fly
・国交省が確認していない自動操縦システム
・対応デバイス:Android、ios

【アドバイス】
このアプリをメインで使う機体(MINI3PRO、Mavic3、Air 2S)には「確認した飛行形態の区分E注2」の記載はほとんどありません。

「GS PRO、DJI PILOT」と「DJI GO4、DJI Fly」は似ていますが、審査要領上は全く別の取り扱いとなっております。

「メーカ指定の自動操縦システム及び純正のカメラを装備している」にチェックをしてしまうと「DJI GO4やDJI Fly」では目視外飛行ができなくなってしまいます。

※DJI Flyをメインで使う機体(MINI3PRO、Mavic3、Air 2S)は、大体「メーカ指定の自動操縦システム及び純正のカメラを装備している」にチェックができない仕様になっています。

多くの方は「DJI GO4やDJI Fly」を利用されているかと思いますので、ご注意ください。

当事務所では、この項目は「その他」をチェックし、「GS PROやDJI PILOT」「DJI GO4(DJI GO)やDJI Fly」など利用する可能性があるシステムを場合分けして記載し、すべて利用できるよう申請をしています!

地上において、無人航空機の位置及び異常の有無を把握できること

▲プロポ(操縦機)の画面に、機体の位置情報や GPS 電波の状況、機体の異常の有無等が表示されるかを確認します。

4-1で「メーカー指定の自動操縦システム(GSPRO、DJI PILOT等)及び純正のカメラを装備している」にチェックを入れた場合は、この項目のチェックは不要です。

それ以外の場合(DJIGO4やDJI Flyを利用する場合)は、「プロポの画面において機体の位置及び異常の有無等を把握できる。」にチェックを入れます。

しかし、ここで写真を添付すると、エラーが出るので、このことが分かる写真は、4-1の方に添付します。

なんとわかりにくいことでしょう!

不具合発生時に危機回避機能(フェールセーフ機能)が正常に作動すること。

▲フェールセーフ機能とは、トラブル発生時に、自動帰還機能(Go-Home)または電波が復帰するまで空中で位置を維持する機能等です。

4-1で「メーカー指定の自動操縦システム(GSPRO、DJI PILOT等)及び純正のカメラを装備している」にチェックを入れた場合は、この項目のチェックは不要です。

それ以外の場合(DJIGO4やDJI Flyを利用する場合)は、「電波遮断時にはフェールセーフ機能(自動帰還機能、電波が復帰するまで空中で位置を維持する機能等)が作動することを確認している」にチェックを入れます。

ただ、この場合、写真の添付は不要です。

なんとわかりにくいことでしょう!

フェールセーフ機能を有していない場合は、その他を選択し、その他の代替案を示す資料を添付します。

2023/1/19時点

【現在確認しているバグ】

【機体名[○○]の目視外での飛行の適合基準が申請基準を満たしておりません。と表示される場合】

国交省確認機体リストで、E注2の記載があり、メーカー指定の自動操縦システム(DJIGO4やDJI Flyは自動システムではないことに注意)を利用するにも関わらず、「機体名[○○]の目視外での飛行の適合基準が申請基準を満たしておりません。」というエラーが表示されるバグがDIPD2.0で発生しています。(2023/1/19時点)

その場合は、「その他」にチェックを入れ、対応する必要があります。

危険物輸送の追加基準


危険物の輸送に適した装備が備えられていることが必要となり。以下の条件を満たす必要があります。

  • 危険物を入れた容器は不用意に脱落する恐れがないこと
  • 危険物に対する耐性を有していること

▲要件を満たしていることを「文章」と「写真」で証明します。

物件投下の追加基準

不用意に物件等を投下する機構でないことが必要となります。

そのため以下の条件を満たす必要があります。

  • スイッチ等により物件を投下する機能を有していること
  • 不用意に物件を投下しない構造を有していること

▲要件を満たしていることを「文章」と「写真」で証明します。

追加基準の設定が完了したら「登録する」

▲追加基準の設定が完了したら、「登録する」をクリックします。

エラーが出る場合はそれぞれ対応をします。

2023/1/19時点

【現在確認しているバグ】

【機体名[○○]の目視外での飛行の適合基準が申請基準を満たしておりません。と表示される場合】

国交省確認機体リストで、E注2の記載があり、メーカー指定の自動操縦システム(DJIGO4やDJI Flyは自動システムではないことに注意)を利用するにも関わらず、「機体名[○○]の目視外での飛行の適合基準が申請基準を満たしておりません。」というエラーが表示されるバグがDIPD2.0で発生しています。(2023/1/19時点)

その場合は、「その他」にチェックを入れ、対応する必要があります。

▲もう一度「登録」をクリックして、機体情報の設定は完了です。

操縦者を申請書に追加する

▲操縦者選択をクリックします。

▲プルダウンメニューから操縦者を選択し、「操縦者追加」をクリックします。

【もしもプルダウンメニューから操縦者を選択できない場合】

プルダウンメニューに操縦者が表示されない場合は、DIPS2.0に操縦者を登録していない可能性が考えられます。

DIPS2.0に操縦者を登録する方法を参考に操縦者の登録を行いましょう。

代替的安全対策というボタンが表示される場合

▲代替的安全対策というボタンが表示される場合は、DIPS2.0に操縦者を登録するのときに、以下の要件を満たしていないと入力した可能性があります。

  • 10時間飛行経歴や能力を有していない
  • 飛行形態(夜間飛行、目視外飛行、物件投下)に応じた実績がない

もしも満たしている場合は、一度申請書の作成を中断して、再設定をします。

設定に間違い、つまり、操縦者要件を満たしていない場合は、表示どおり、代替的安全対策を記載します。

それぞれ別々に安全対策を記載する必要があります。

特にドローンスクールさんは、生徒様の実地講習のため夜間や目視外飛行の許可を取得する必要がありますが、初学者の場合は、この代替的安全対策の記入が必要です。

当事務所では夜間飛行、目視外飛行、物件投下の経験がないお客様でも、許可取得後に必要最低限の練習と時間で、制限のない飛行ができるように申請可能です!

▲もう一度「登録」をクリックして、操縦者情報の設定は完了です。

使用する飛行マニュアルを選択

ドローンの許可申請には、安全な飛行のためのマニュアル(飛行マニュアル)の添付が原則必要となります。

ただし、一から作成するのは大変なため、国交省では、航空局標準マニュアルというものを作成し、これを利用する場合は、マニュアルの添付を省略することができます。

航空局標準マニュアルは「経路の特定の有無」「飛行目的」により大きく6種類にわけられます。

その中でも、一番利用されているのが、航空局標準マニュアル02です。

インフラ点検用のマニュアルや空中散布用のマニュアルは、制度的に後から出来たものなので、全マニュアルのベースは「航空局標準マニュアル02」となっております。

標準マニュアル詳細
航空局標準マニュアル01「個別申請」で使用可能
航空局標準マニュアル02「包括申請」で使用可能
航空局標準マニュアル01(インフラ点検)「個別申請」かつ「飛行目的がインフラ点検」で使用可能
※令和3年3月30日に発表
航空局標準マニュアル02(インフラ点検)「包括申請」かつ「飛行目的がインフラ点検」で使用可能
※令和3年3月30日に発表
航空局標準マニュアル(空中散布)「個別/包括申請」かつ「飛行目的が農薬散布等」で使用可能
※令和元年7月30日に発表
航空局標準マニュアル(研究開発)「個別申請」かつ「飛行目的が研究開発」で使用可能
※ここでいう研究開発とはドローンやプロポの開発であり、海洋調査やクルマの開発などでは使用不可。
※令和2年9月10日に発表

ただし、国交省の公開している航空局標準マニュアルは、あくまでも標準的なマニュアルであるため飛行場所や飛行方法が制限されてしまいます。しっかりと読み法令を遵守しましょう。

「航空局標準マニュアルを使用」を選択した場合

上記のように「航空局標準マニュアル」を選択した場合は以下の場所・方法では飛行させることができません。

飛ばせない場所:「補助者なし」で、第三者の往来が多い場所、学校や病院、神社仏閣、観光施設

2022年12月5日以前の航空局標準マニュアルでは、第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設等の不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近での飛行を禁止していました。

そのため過去の標準マニュアルでは「運動会・学校グラウンドでの人文字の空撮」や「プロモーションのための学校・病院の空撮」等に対応できませんでした。

しかしながら、2022年12月5日の審査要領改正により、以下の要件であれば、飛行ができるように改定されました。

【2022/12/5適用版の標準マニュアルより】

当該施設から飛行の依頼があった場合は、休校日、休診日、早朝など第三者が往来する可能性が低い時間帯とし、飛行経路を当該施設内に限定した上で、一定の広さのある場所を飛行させるものとする。また、経路下における第三者の立ち入りについて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止するほか、突風などを考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。

ただし、改定された標準マニュアルでも、「補助者の配置」は必須になっています。

補助者の配置を行わずに学校や病院などで飛行を行うためには、独自マニュアルが必要となります。

また、禁止されている飛行場所は、学校や病院だけでなく「第三者の往来が多い場所」と抽象的にも記載されているため、人通りのある場所での飛行ではそこが「第三者の往来が多い場所」に該当しないか注意が必要です。(例:駅前や観光地など)

上記のような場所、その付近で、「補助者なし」で飛行する可能性がある場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
根拠:標準マニュアル 3-1(9項目)

飛ばせない場所:「補助者なし」で、高圧線、変電所、電波塔、無線施設

2022年12月5日以前の航空局標準マニュアルでは、高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の上空やその付近での飛行を禁止していました。

そのため「ソーラーパネルの測量・点検」「発電所付近での空撮」「送電線の点検」などで上記に該当する場合は、飛行ができませんでした。

しかしながら、2022年12月5日の審査要領改正により、以下の要件であれば、飛行ができるように改定されました。

【2022/12/5適用版の標準マニュアルより】

高圧線、変電所、電波塔、無線施設などの施設点検等の業務として飛行が必要な場合は、飛行範囲を限定し、不必要な飛行をさせないようにする。さらに、一定の広さのある場所を飛行させるとともに、経路下における第三者の立ち入りについて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止する。また、突風、電波障害など不測の事態を考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。

ただし、改定された標準マニュアルでも、「補助者の配置」は必須になっています。

補助者の配置を行わずに高圧線付近で飛行を行うには、独自マニュアルが必要となります。

また「その付近では飛行をしない」とも記載もあり、被写体が高圧線や変電所等でなくても、付近に存在する場合は、補助者が必要となります。(例:高圧線が通っている山間部での空撮など)

特に「高圧線」は住宅地・山間部など場所を問わず設置されているので、標準マニュアルでは高圧線により、補助者の配置が必要になるケースがあります。(例:建設現場の付近に高圧線が通っており補助者の配置が必要になった)

上記のような場所、その付近で補助者なしで飛行する可能性がある場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
根拠:標準マニュアル 3-1(11項目)

飛ばせない場所:高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空

航空局標準マニュアルでは、高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近での飛行を禁止しています。

理由は万が一ドローンが落下した場合、交通に重大な影響が及び、非常に危険な事態に陥ることも想定されるからです。

また「その付近では飛行をしない」とも記載もあり、実際の飛行場所がその上空でなくても、付近に存在する場合は飛行ができません。

上記のような場所、その付近で飛行する可能性がある場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
根拠:標準マニュアル 3-1(10項目)

当事務所では、一定の条件下で、高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空での飛行ができるように申請しております。

飛ばせない飛行方法:風速5m/s以上の状態下での飛行

航空局標準マニュアルでは、風速5m/s以上の状態での飛行を禁止しています。

そのため、たとえ機体性能上、風速5m/s以上の飛行が可能であっても、航空局標準マニュアルを利用した場合は、飛行させることができません。

風速は実地で確認する必要がありますので、飛行場所に到着しても飛ばせないというケースがあります。

風速5m/s以上で飛行する可能性がある場合は独自マニュアルを作成する必要があります。

根拠:標準マニュアル 3-1(2項目)

飛ばせない飛行方法:風速5m/s以上の突風が生じた場合の飛行

航空局標準マニュアルでは、風速5m/s以上の突風が発生した場合は飛行を中止することと定めています。

そのため「平均的な風速が5m/s未満」であっても、「風速5m/s以上の突風」が発生した場合は、飛行を中止しなければいけません。

空撮などの撮影日が限られている場合は、気象によって飛行ができない事態が生じてしまう可能性がありますので、上記事態が発生した場合であっても飛行を行う必要がある場合は独自マニュアルを作成する必要があります。

根拠:標準マニュアル 2-8(3)

飛ばせない飛行方法:夜間飛行での「飛行高度と同じ距離の半径内」に第三者が存在する飛行

航空局標準マニュアルは、夜間飛行を行う際の体制として「飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する。」と定めています。

例えば高度50m飛行させる場合は、ドローンの真下の地点を中心に半径50m(直径100m)の範囲を第三者立入禁止区画にしなければいけません。高度100mで飛行する場合は、半径100m(直径200m)が立入禁止区画となります。

ドローンを中心に半径○○mではありませんので、注意しましょう。

標準マニュアルを使用した場合で、立入禁止区画となる半径内に住宅や道路がある場合は、立入規制や通行止めを行う必要があるため、現実的ではありません。

そのため、航空局標準マニュアルを使用した許可承認では、住宅地・道路付近での夜間飛行はかなり難しくなります。

立入規制や通行止めを行うことができず、立入禁止区画とすべき半径内に第三者が存在した状況で飛行を行う可能性がある場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。

画像

根拠:標準マニュアル 3-3(2項目)

飛ばせない飛行方法:人口集中地区×夜間飛行

航空局標準マニュアルでは、人口集中地区での夜間飛行を禁止しています。

たとえ「人口集中地区の許可」と「夜間飛行の承認」の両方を取得したとしても、この組み合わせで飛行させることはできません。

そのため、標準マニュアルでは「夜景撮影のため人口集中地区から空撮する」等のことはできません。

また港や海岸であっても人口集中地区に該当しているケースがありますので、そのような場所では夜間飛行を行うことはできません。

(例1:海岸と港が人口集中地区(地理院地図が開きます))

(例2:海岸と港が人口集中地区(地理院地図が開きます))

人口集中地区で夜間飛行を行う場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。

根拠:標準マニュアル 3-1(16項目)

飛ばせない飛行方法:「補助者なし」で、人口集中地区×目視外飛行

2022年12月5日以前の航空局標準マニュアルでは、人口集中地区での目視外飛行を禁止していました。

そのため、たとえ「人口集中地区の許可」と「目視外飛行の承認」の両方を取得したとしても、この組み合わせで飛行させることはできませんでした。

しかしながら、2022年12月5日の審査要領改正により、以下の要件であれば、飛行ができるように改定されました。

【2022/12/5適用版の標準マニュアルより】

業務上、やむを得ず飛行が必要な場合は、常時操縦者と連絡を取り合うことができる補助者の配置を必須とし、飛行範囲を限定して不必要な飛行をさせないようにする。さらに、一定の広さのある場所を飛行させるとともに、経路下における第三者の立ち入りについて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止する。また、突風などを考慮して当該場所の付近(近
隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。

ただし、改定された標準マニュアルでも、「補助者の配置」は必須になっています。

航空法では「目視により常時監視して飛行させること」と定められており、原則、一瞬でもドローンから目を離す場合は、目視外飛行となります。

つまり、標準マニュアルを使用した場合、人口集中地区で操縦者がモニター映像を見る場合は、補助者の配置が必須です。

ただ、運用上、日程や予算の関係で補助者の確保が困難なケースも多いかと思います。

人口集中地区で目視外飛行を行う場合、つまり、人口集中地区で操縦者がモニターを確認しつつ飛行する場合で、かつ補助者の配置を行わない場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。

根拠:航空法第百三十二条の二の二(目視による常時監視について)

根拠:標準マニュアル 3-1(17項目)

飛ばせない飛行方法:夜間の目視外飛行

航空局標準マニュアルでは、夜間における目視外飛行を禁止しています。

たとえ「夜間飛行の承認」と「目視外飛行の承認」の両方を取得したとしても、この組み合わせで飛行させることはできません。

夜間に目視外飛行を行う場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。

根拠:標準マニュアル 3-1(18項目)

飛ばせない飛行方法:人、物件との距離が30m以上確保できない離発着場所での飛行

航空局標準マニュアルは、「人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所を選定すること」と定めています。つまりドローンの「離着陸時」は、ドローンの周囲30mの範囲内に、人や物件が一切存在しないことが飛行の条件となります。

この項目は、たとえ「30m接近飛行の承認」を取得していた場合も遵守しなければいけません。(東京航空局保安部運用課、大阪航空局保安部運用課に確認済み)

そのため、航空局標準マニュアルを使用した許可承認では、人や物件が存在しない半径30m(直径60m)以上の離着陸場所が必要となります。(物件には電柱なども含まれます)

上記より住宅が密集している場所や道路付近での飛行は、かなり難しくなります。

半径30m(直径60m)の範囲内に人や物件が存在する状況で飛行を行う可能性が場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。

画像

根拠:標準マニュアル 3-1(14項目)

雨の場合や雨になりそうな場合の飛行

航空局標準マニュアルでは、「雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない。」と記載があります。

そのため、たとえ防水性能の要する機体であっても、雨や雨になりそうな状態で飛行させる場合は、独自マニュアルの作成が必要となります。

以前、国交省の審査官の方とお話をさせていただいた際、「航空局標準マニュアル」では上記のように飛行場所・飛行形態がかなり制限されるため、実際問題「航空局標準マニュアル」を使用した包括申請で許可を取得しても、あまり飛ばせないとおっしゃっておりました。

様々な飛行を行う場合は、独自マニュアルを作成することをおすすめします。

上記飛行場所・方法で飛ばすためには…

各項目に対して、個別に安全対策計画を作成した独自マニュアルを利用することで、上記禁止されている飛行場所・飛行方法でフライトすることが可能となります。

▲上記以外の飛行マニュアル(別添)を使用するにチェックを入れます。

▲標準マニュアルと同水準ですかは「いいえ」にチェックを入れ、作成したマニュアルのどこが標準マニュアルから逸脱しているかを記載し、マニュアルの添付も行います。

添付するマニュアルは、標準マニュアルの変更点だけをまとめたものではなく、変更のない部分もすべて記載する必要があることに注意です。

当事務所では、お客様に合わせた独自マニュアルを無料で作成しているため、「補助者なしで人口集中地区×目視外飛行」「風速5m以上の飛行」「補助者なしで第三者の往来の多い場所」「補助者なしで高圧線付近」「夜間の半径制限なし」など、標準マニュアルの制限を解除したフライトが可能です!

初めて申請される方や飛行経験が浅い方でも独自マニュアルが利用ができるようサポートしておりますので、お気軽にお申し付けください!

まとめ

▲機体情報、操縦者情報、飛行マニュアルの入力が完了したら、「次へ」をクリックします。

以上、申請書の作成(パート3)でした。ここのポイントは「機体の追加基準」と「飛行マニュアル」です。

航空局の標準マニュアルを利用する場合は、かなり飛行場所・形態が制限されてしまうので、実はあまり実用的ではございません。

飛行マニュアルについて詳しく知りたい方はこちらをご参考下さい!


 

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