【最速】リーガライト行政書士法人、株式会社高橋組と共同で、DJIドローンでレベル3.5飛行許可を取得。

リーガライト行政書士法人 広報部

この記事では、レベル3.5飛行の飛行事例を紹介します。許可を取得した事業様へのインタビューを通じて、レベル3.5飛行ではどんな飛行ができるのか、どんなメリットがあるのかが分かります。

期待から現実へ — ドローンのビジネス活用が加速!

2024年5月28日、リーガライト行政書士法人は北海道浜頓別町での飛行について、DJI機体「Mavic 3 Thermal」で、ドローンのレベル3.5の飛行許可を取得しました。

飛行の目的は、運送やインフラ点検ではなく、「野生鳥獣の個体調査等を目的とした空撮」です。

リーガライト行政書士法人代表行政書士中島北斗は、ドローンの活用の幅を広げたいと語ります。

DJI×レベル3.5でドローンの可能性が無限大に

レベル3.5飛行とは、第三者が立ち入る可能性が低い場所において、補助者の配置やフェンス、看板の設置を行わずに、飛行する方法です。

従来のレベル3飛行では、立入管理区画への第三者の立入りを制限するために、補助者の配置や看板での周知を行う必要がありましたが、レべル3.5では、機上カメラを活用し、無人地帯を確保します。

補助者や看板などが不要となるため、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場などでは、より自由な飛行が可能となります。

レベル3.5申請には「落下距離」や「初期故障期間」を示す資料が必要となり、これにはメーカーの協力が必要です。

今までは、上記情報をDJIから提供してもらうことは困難でしたが、2024年5月9日、DJIはレベル3/3.5申請に必要な機体情報の提供開始を発表しました。

これによりMavic 3Eシリーズ、Matriceシリーズ、FlyCart30でのレベル3/3.5申請が可能となりました。

圧倒的な市場シェアを占めるDJI機体での申請が可能となったため、レベル3/3.5の申請数が増えることが予想されます。

レベル3.5申請方法

レベル3.5申請は、書面申請となります。

大まかな流れは、「①航空局と事前調整」「②地方航空局に許可申請」となります。

1.航空局に事前相談します。

2.運航概要宣言書、運航条件等設定書、レベル3.5の飛行マニュアルのひな型を受け取ります。

3.上記書類に加え、リスク評価と対策の資料、無人航空機がレベル3.5の追加基準に適合していることを示す資料、「飛行範囲」と「立入管理区画(メーカーが保証した落下距離の範囲内)」を示した経路図、無人航空機がレベル3.5の追加基準に適合していることを示す資料、操縦者がレベル3.5飛行の追加基準に適合していることを示す資料、想定される運用において、機体の初期故障期間を超えた十分な実績を示す資料を送付します。

4.事前調整後、レベル3.5の申請様式を受け取ります。

5.様式をもとにレベル3.5の申請書を作成し、地方航空局に提出します。

6.許可後、航空情報の発行手続きや有人機運航者への事前周知の案内対応をします。

詳しい資料の説明や要件などは以下の記事でまとめています。

エゾシカ、ヒグマの個体調査等、駆除でレベル3.5飛行

今回取得したレベル3.5の飛行目的は野生鳥獣(ヒグマやエゾシカ)の個体調査、捕獲、捜索です。

北海道ではエゾシカやヒグマの被害が深刻化している中、北海道浜頓別町、株式会社高橋組代表取締役:高橋洋孝氏は、ドローンを活用した野生鳥獣の調査等を行っています。

ドローンを活用した野生鳥獣の個体調査や狩猟について、インタビューをいたしました。

エゾシカの群れをドローンから撮影(提供:株式会社高橋組様)
森林にて毛づくろいをするヒグマをドローンから撮影 (提供:株式会社高橋組様)
デントコーン被害をドローンから撮影(浜頓別町宇曽丹)(提供:株式会社高橋組様)

Q. 個体調査調査、駆除でドローンを使用するメリットは何でしょうか?

【エゾシカについて】

高橋氏:エゾシカの捕獲方法には、銃器・囲い罠・くくり罠があります。銃による捕獲の場合は、地上からは見つけづらい場所でもドローンでは上空から居場所を特定し、位置をハンターに知らせることにより、捕獲確率が上がります。囲い罠等の場合は、設置前にドローンで上空から個体群を調査し、獣道も同時に把握したうえでエゾシカの行動範囲の中に罠を仕掛けることにより短期間で効率的に捕獲することが当社では実証済みであります。よって、ドローンを使用するメリットは、地上からの調査では人間の気配に気づかれ結果には至らないケースが、上空からでは調査結果を捕獲に生かす有効的な方法であり、また赤外線搭載カメラを使用することにより、さらに短時間で個体を発見することが容易になります。

【ヒグマについて】

高橋氏:ヒグマの捕獲方法では、銃器・箱わなであります。ドローンの活用方法としては、上記と同様、上空からドローン(赤外線搭載カメラ)で居場所を特定し地上待機中のハンターに位置を知らせて捕獲する方法や、最も重要なのは全道のヒグマの個体数の把握であります。今現在の当社の取り組みとして、ドローンで上空からヒグマを撮影し、ヒグマの背中の毛の模様で個体を識別する方法や、今後は、撮影画像をAIの解析で個体を識別するなど、実質個体数と推定個体数の推定誤差が狭めるよう取り組んでいき、急激な減少にならぬように考えております。ヒグマでのドローンを使用するメリットは、人里周辺に出没するヒグマをドローンにて発見しても、捕獲できない場所であればその行先に注視し、危険と思われる周辺に町から情報を発信することにより、地域の安全や予防対策に繋がります

エゾシカの囲い罠をドローンで撮影(提供:株式会社高橋組様)

Q. レベル3.5の飛行ができるとどんなメリットがありますか?

高橋氏:今までの飛行は、第三者が立ち入ることの可能性が低い場所でも、補助者の配置やフェンス、看板の設置が義務付けられていました。野生動物を主としてドローンを使用するには限りがあり、突如として出没するヒグマに関しては、補助者の要請やフェンスや看板の設置する間、ヒグマの行き先もわからず、被害防止の為にも利用したいのに使用できない難題でありました。

しかしながら、レベル3.5では、補助者の配置やフェンス、看板の設置を行わず飛行ができることにより野生動物にも即座に対応できるというメリットがあります。

今回取得したレベル3.5許可で、真に現場で必要とされるドローン飛行ができると感じました。

輸送、インフラ点検に限らず、ドローンがますます活躍できる環境が揃った。

航空局のレベル3.5の申請様式には、輸送とインフラ点検がチェックボックスとして用意されていますが、この制度はアイデア次第で、使い道が沢山あります。

リーガライト行政書士法人は、今後も、ドローンを様々な場所で活用すべく、提案と申請サポートを行います。

人の立ち入りが少ない山林や海上では、空を見上げたらドローンが仕事をしているというSFの世界はすぐそこかもしれません。

レベル3.5は革新的な制度(画像:リーガライト行政書士法人)