航空局から登録講習機関に向けて、「外部委託によるオンラインでの講習の実施について」という注意喚起メールが送付されました。
このメールを簡単に要約すると、「利用しているeラーニングは適切に要件を満たしていますか?」という内容です。
たとえ外部のeラーニングシステムを利用している場合であっても、不適切と判断されれば、登録講習機関が行政指導や行政処分の対象となる可能性があるため、注意が必要です。
外部のeラーニング教材を利用している登録講習機関はもちろん、これから導入を検討している方も、内容を確認しておくことが重要です。

行政書士 中島北斗
この記事では、注意喚起メールの内容を実務目線でわかりやすく整理したうえで、eラーニングで報告されている不適切事例や、学科講習において確認すべき告示上の要件、さらにDrobyで講じている対応について解説します。
航空局から届いた注意喚起メール
航空局から登録講習機関に向けて、「外部委託によるオンラインでの講習の実施について」という注意喚起メールが送付されました。
要約すると、「外部のeラーニングを利用している登録講習機関はあると思うが、それ自体が直ちに問題というわけではない。一方で、以下のような不適切な事例が報告されている」という内容です。
この不適切な事例とは、以下の3つです。
不適切な報告内容の例
これらの内容は、メールにもあるとおり、いずれも「不適切な無人航空機講習(重大な不適切)」に該当します。
この場合、外部委託を活用したことによるものであっても、登録講習機関等による不適切な無人航空機講習として取り扱われ、行政指導や行政処分の対象となる可能性があります。
学科講習には3つの実施方法がある
登録講習機関では、学科講習・実地講習・修了審査を行います。
学科講習と実地講習は、事務規程で定めた時間割に従って実施し、その両方を終えた受講生に対して修了審査を行います。
学科講習の実施方法は、対面、eラーニング、ビデオ会議システム(Zoom等)の3つが告示で定められています。
今回の注意喚起は、このうち学科講習のeラーニングに関するものです。
行政指導により社名が公表された事例も
今回の注意喚起に直接関係するものではありませんが、過去には行政指導を受け、社名が公表された事例もあるため、注意が必要です。

それでは、これらの不適切な事例について詳しく見ていきましょう。
不適切事例①講習時間が告示の時間に満たない
まず1つ目の不適切事例は、提供されているオンライン講習の時間が、告示で必要とされる時間数に満たないというものです。
先ほど、学科講習には3つの実施方法があると説明しましたが、いずれの場合も、満たすべき講習時間数が定められています。
弊社でも、行政書士法人として登録講習機関の設立支援を行う中で、「このeラーニングを使いたいので申請をお願いしたい」とご相談をいただくことがあります。
しかし、提示された時間割を確認すると、大きく分けて3つのパターンで問題があるケースがあります。
よくある不適切な例
ケース1:全体の時間数が足りていない
学科講習には、一等・二等、さらに初学者・経験者ごとに、必要とされる講習時間数が定められています。
そもそも、この必要時間数を満たしていない時間割が見られることがあります。
学科講習に必要な時間数
ケース2:各科目の時間数が足りない
全体の時間数は足りていても、各科目の時間数が不足しているケースもあります。
学科講習では、全体の時間数だけでなく、各科目ごとにも必要な時間数が定められています。
| 一等初学者 | 一等経験者 | 二等初学者 | 二等経験者 | |
|---|---|---|---|---|
| 1.無人航空機操縦者の心得 2.無人航空機に関する規則 | 3時間〜 | 3時間〜 | 1時間〜 | 1時間〜 |
| 3.無人航空機のシステム | 5時間〜 | 3.5時間〜 | 2時間〜 | 1.5時間〜 |
| 4.無人航空機の操縦者及び運航体制 | 6時間〜 | 2時間〜 | 4時間〜 | 1時間〜 |
| 5.運行上のリスク管理 | 4時間〜 | 1.5時間〜 | 2時間〜 | 0.5時間〜 |
| 合計 | 18時間〜 | 10時間〜 | 9時間〜 | 4時間〜 |
しかし、実際にeラーニングの時間割を確認すると、1~4の科目は満たしていても、「5.運行上のリスク管理」の時間が不足しているなど、個別の科目の時間数が足りていないことがあります。
そのような場合も、告示の要件を満たした時間割とはいえないため、不適切となります。
ケース3:修了確認テストの時間も講習時間に含めている
これが最も多いケースですが、修了確認テストの時間を講習時間に含めてしまっていることがあります。
eラーニングで学科講習を行う場合は、動画視聴後に、学科修了確認テストを登録講習機関で実施する必要があります。
このテストの実施が必要であること自体は十分に浸透していると思われますが、その確認テストの時間を講習時間に含めてしまっているeラーニング教材は少なくありません。
たとえば、二等経験者では4時間以上の講習が必要ですが、そのうち動画視聴を3時間、確認テストを1時間として、合計4時間の講習としているケースがあります。
しかし、確認テストの時間は講習時間に含めることができません。そのため、この場合の講習時間は動画視聴の3時間のみとなり、告示で定められた時間数を満たさないことになります。

不適切事例② 受講履歴を記録できない
2つ目の不適切事例は、登録講習機関側で受講生の受講履歴を確認できない仕様となっているため、講習記録簿への記録ができないケースです。
これは一般的なeラーニング事業者ではあまり見られませんが、自社でeラーニングを導入・運用したいと考えている登録講習機関では起こりやすいケースです。
実際、お問い合わせの中でも、「登録講習機関の学科講習について、自社で教材を作成し、eラーニングで実施したい」というご相談をいただくことがあります。しかし、登録講習機関でeラーニングを実施するには、その教材を、視聴記録などを取得できるシステム上で提供する必要があります。
単に動画ファイルや動画リンクを渡して視聴してもらうだけの運用では、告示の要件を満たすことができません。
不適切事例③ 学科講習を修了する前に修了審査を行ってしまった
3つ目の不適切事例は、外部委託事業者が適切に進捗管理を行っておらず、学科講習を修了する前に修了審査を行ってしまったケースです。
進捗管理自体を外部事業者が担うケースもないわけではありませんが、比較的まれであり、一般的には登録講習機関側で行うことが多いと考えられます。
ただし、「システム上、進捗管理がしづらい」「学科講習を外部に任せきりで、制度の理解が十分でない」といった理由から、学科講習を修了する前に修了審査を行ってしまう事例は実際に見られます。
登録講習機関として注意すべき点は、主に次の2点です。
登録講習機関として気を付けるべき点
修了という定義を理解する
学科講習は、動画視聴の完了だけでなく、その後の学科修了確認テストに合格してはじめて、修了したものとして扱われます。

そのため、動画を視聴した後に実地講習と修了審査を行い、最後に学科修了確認テストを実施するという運用は誤りです。順序を誤らないよう注意しましょう。

受講生に前もって伝えておく
面講習の場合は、受講生が現場に来るため、講習はその場で完了します。
一方で、eラーニングは受講生自身の進捗に左右されやすいため、登録講習機関側で進捗を適切に把握し、必要に応じてフォローしていくことが重要です。
外部eラーニングを導入している登録講習機関は確認が必要
メールでは、不適切事例の紹介に加えて、このような点も示されています。
要約すると、外部のeラーニングを利用している、またはこれから導入を検討している登録講習機関は、そのeラーニングが告示の要件を満たしているかを確認し、必要に応じて見直してほしい、という内容です。
また、監査実施団体に対しても、適切に確認したうえで判定してほしい旨が示されています。
弊社でも、100校以上の登録講習機関にeラーニング教材とシステムをご利用いただいており、その説明責任という意味でも、今回の内容を整理しています。

以下では、告示の内容と照らし合わせながら、弊社のDroby(ドロビー)がどのように要件を満たしているかを説明します。
学科講習の告示要件
学科講習に関する告示上の基準は、「別表第四 オンライン講習の実施基準」に具体的に定められています。
一. 講習内容
第一号の講習内容には以下の記載がされています。
- オンライン講習であっても、必修科目を満たすこと
- 学科講習の終了時に修了確認テストを実施し、登録講習機関が定める修了基準を満たした者を、学科講習を修了したものとして扱うこと
Drobyでの対応
これに対し、Drobyでは各動画の時間数を個別に管理しています。

また、各科目について告示で定められた時間数と、全体の合計時間数のいずれも満たすように設計されており、修了確認テストの時間は講習時間に含めていません。

二. 講習時間数
第二号では、必修時間以上の講習を行っていることを確認できることが求められています。
eラーニングの場合は、動画の再生記録やPCの操作記録などに基づいて、受講状況を確認できる仕組みが必要です。
このような仕組みが実装されていないと、受講生に対して必要な講習時間以上の講習を実施したかどうかを確認できず、要件を満たさないことになります。
Drobyでの対応
Drobyでは、受講生ごとに受講記録のページがあり、講習全体の開始日時と終了日時に加え、各動画ごとの視聴履歴の日時も一覧で記録されるようになっています。
また、進捗バーによって受講状況が可視化されているため、進捗を把握しやすくなっています。
さらに、学科修了確認テストの履歴も記録されており、詳細な採点結果まで確認することができます。

三. 講師の条件
第三号では、eラーニングを利用する場合、その動画の作成責任者または監修者が講師要件を満たしていることが求められています。
外部のeラーニングを利用する場合は、実務上、監修という形を取るケースが多いため、監修者が講師要件を満たしていることが重要になります。
この考え方は、航空局のQ&Aでもより詳しく示されています。
内容を整理すると、以下のとおりです。
- eラーニング教材を利用する場合は、監修が必要となる。
- 登録講習機関の講師が、実施しようとする講習の内容に沿ったものになっているかを確認し、監修を行う。
- 特に教材の変更が必要ない場合でも、講習事務規程の使用教材一覧に「監修者」として講師の氏名を記載する。

Drobyでの対応
Drobyでは、教材を追加するたびにこの確認をお願いしており、あわせて監修確認書をシステム上で提出いただき、記録として保存しています。
これにより、監修を行ったことの記録を適切に保管することができます。

四. 質疑応答
第四号では、受講生からの質問に回答できる体制を整える必要があると定められています。
この点についても、航空局のQ&Aでより詳しく示されています。
そこでは、オンライン講習システムにQ&Aチャット機能自体が必須というわけではないことが示されています。

Drobyでの対応
Drobyでは、システム開発当初はこのQ&Aに関する明確な記載がなかったこともあり、質問フォーム機能を用意しています。
この機能により、受講生はeラーニングシステム上の質問フォームから簡単に質問することができます。
管理者側では、届いた質問が一覧で表示され、フォーム上で回答できるほか、回答履歴も記録として残ります。

進捗管理について
学科講習の告示のうち、eラーニングに関係する主な要件は以上ですが、航空局からのメールで触れられていた「進捗管理」についても重要なため、あわせて解説します。
Drobyでの対応
Drobyでは、受講生ごとに学科講習の受講期限を設定することができ、指定した期限日の前から自動通知を送ることができます。
たとえば、受講期限が2026年4月30日で、7日前から通知を開始する設定にした場合、4月23日から期限日まで毎日、受講生の進捗状況を確認し、未完了であれば自動で通知メールが送信されます。
仮に、このような受講生が5人いた場合、スクール側には、未完了の5人分のリストが自動メールで送付されます。

この際、受講生に送信されるメール本文は自由に変更することができます。

この機能を活用することで、たとえば5人分の未完了リストが届いた場合でも、そのうち期限に余裕のある受講生には通知メールで受講を促し、期限が近い受講生には電話や個別メールで再案内するといった対応がしやすくなります。結果として、受講生へのフォローアップにもつながります。
未完了の受講生は一覧表でも確認できますが、自動通知機能と組み合わせることで、より効率的に運用できます。

まとめ:告示の要件を満たしているのは大前提
まとめると、登録講習機関において、eラーニングが告示の要件を満たしていることは大前提です。
そのうえで、実際の導入や運用にあたっては、単に要件を満たしているかだけでなく、教材の内容がわかりやすいか、進捗管理がしやすいか、受講記録を適切に残せるかといった点まで含めて確認することが重要です。
Droby(ドロビー)では、こうした告示上の要件への対応はもちろん、登録講習機関が実務上つまずきやすいポイントも踏まえて、教材とシステムの両面から運用しやすい形を目指して設計しています。
現在の学科試験は第4版がベースですが、今後第5版が公表された際にも、内容を適切に見直し、アップデートしていく予定です。
登録講習機関向けのeラーニング導入や見直しをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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執筆者:
行政書士 中島北斗
ドローンの規制(改正航空法)が始まった2015年当初からドローン申請業務を行っている行政書士が、ドローン法令の遷移を生で感じていたからこそわかる、リアルで正確性な情報を発信いたします。
ドローン許可取得実績は15,000件、相談実績は20,000件、また100校を超えるドローンスクールの顧問をしています。
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