【レベル3.5飛行】ドローン許可申請方法とは?補助者なし目視外飛行

行政書士 中島北斗

この記事では、レベル3.5でできることレベル3.5の許可を取得するための条件申請方法許可取得後にやるべきことを解説いたします。この記事を読めば、広範囲の目視外飛行を補助者なしで行うためのヒントが見つかります!

ドローンのレベル3.5飛行とは

ドローンのレベル3.5飛行とは、「補助者や看板を配置せずに機体カメラで人がいないことを確認しながら飛行する方法」です。

もう少し詳しくいうと「第三者が立ち入る可能性が低い場所において、機体カメラで飛行経路下に第三者がいないことを確認することで、補助者や看板を配置せずに目視外飛行を行う方法」です。

従来のレベル3飛行では、補助者の配置や看板での周知等で無人地帯を確保していましたが、レべル3.5では、機上カメラを活用し、無人地帯であることを確認しながら飛行します。

補助者や看板などの設置、道路横断時の一時停止が不要になるため、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場などでは、準備期間の短縮、低コスト、自由な飛行が実現します。

特徴包括申請での目視外飛行レベル3レベル3.5レベル4
補助者の配置原則必要
※区画明示で不要
原則不要
※状況に応じて配置
不要不要
看板の設置状況に応じて設置実質的に必要不要不要
カメラでの立入管理措置不可(補助的に利用)不可(補助的に利用)必要不要
技能証明不要不要必要(二等以上、目視外)必要(一等)
機体認証不要不要不要必要
保険任意任意必要任意
飛行経路図の作成不要必要必要必要
道路横断時の一時停止状況に応じて対応必要不要不要
通行車両の上空飛行不可不可可能可能
第三者の上空飛行不可不可不可可能
第三者が存在する可能性が低い場所(山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場)に限られるか。限られない限られる限られる限られなし

ネットやYouTubeでは「レベル3.5は立入管理措置が不要」と誤った情報が出ています。
しかし制度上、レベル3.5でも立入管理措置は必要です。立入管理措置のやり方が変わったというイメージです。
立入管理措置が不要という考え方で申請をすると、難航する恐れがありますので注意しましょう。

飛行レベルとビジネス利用の現状(図:リーガライト行政書士法人)

飛行レベルのおさらい

飛行レベルという用語は、2016年に開催された官民協議会の「無人航空機の利活用と技術開発のロードマップ(案)」という資料で示されました。

航空法や施行規則で定義されている用語ではありません。

これは空の産業革命に向けて細分化された目標のようなもので、レベル4に向けて、技術や法整備をしていきましょうねというイメージです。

【無人航空機の利活用と技術開発のロードマップ(案)における飛行レベルの考え方】

飛行レベル飛行方法
レベル1目視内×手動操縦
レベル2目視内×自動操縦
レベル3目視外×自動操縦×無人地帯
(事実上補助者なし)
レベル4目視外×自動操縦×有人地帯
(事実上補助者なし)
無人航空機の利活用と技術開発のロードマップ(案)から抜粋

【上級者向けコラム】

2016年から技術や法整備が進んで、ロードマップにおける目標が着実に実現されていますが、当然一筋縄では進まず、探り探り法改正が行われました。

紆余曲折あり、「手動飛行」でもレベル3飛行を行うケースがあること、2022年12月「飛行マニュアルの立入管理措置に「区画明示」が追加」されたこと、2023年12月にレベル3.5飛行が追加されたことなど、従来の飛行レベルの考え方では、制度を理解することが難しくなっている現状もあります。

そこでリーガライト行政書士法人では、飛行レベルを立入管理措置の方法を基準に再定義しました。

この考え方は、既存の飛行レベルの考え方にも大きく反せず、かつ、よりわかりやすい思います。

【飛行実態、各種法令を総合的に判断したリーガライト行政書士法人の飛行レベルの考え方】

飛行レベル飛行の方法立入管理措置
レベル1目視飛行×手動飛行不要
※その他の特定飛行にも該当しない場合
レベル2目視飛行×自動飛行不要
※その他の特定飛行にも該当しない場合
包括申請での目視外飛行
※既存のレベルの概念では触れられていない。
目視飛行
※包括申請の限界
以下の①②いずれかで対応
①補助者の配置
・フェンス、看板なし
※第三者の立ち入りが可能性として捨てきれないため人の目でチェック
②コーンやフェンスで立入管理区画の明示
・補助者なし
※第三者の立入りを「確実」に制限できることが前提
レベル3目視外飛行
※個別申請必須
③看板の設置等
・補助者なし
・通行車両の上空不可
※第三者の立ち入りが可能性として捨てきれない飛行
レベル3.5目視外飛行
※個別申請必須
④機体カメラで無人地帯を確認
・補助者なし
・看板なし
・通行車両の上空可能
※第三者の立ち入りが可能性として捨てきれない飛行
レベル4目視外飛行
※個別申請必須
不要
リーガライト行政書士法人が考える飛行レベル

独特な考え方としては「レベル1、レベル2以外では手動操縦か自動操縦を考慮していないこと」「包括申請内で行う目視外飛行をレベル2とレベル3の間に追加したこと」です。

各飛行レベルにおける立入管理措置について、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

レベル3.5が新設された背景

上の表からもわかるとおりレベル3飛行では、看板の設置や道路横断時は一時停止などが求められおり、ドローンでビジネスをする上では、コスト面、対策面で現実的ではありませんでした。

そういったことを緩和してほしいという事業者の声のもと、レベル3.5という制度が新設され、以下3点を必要条件として、看板不要、一時停止不要で飛行ができるようになりました。

  • 技能証明(二等以上、目視外)の保有
  • 第三者賠償責任保険への加入
  • 機体カメラによる立入管理措置の実施

詳しくは後述しますが、これ以外にも申請条件があります。

ただし機体認証を受けていることは条件ではありませんので、申請できる機体の幅が広がります。

長距離、広範囲飛行に向いている

レベル3.5飛行は、補助者や看板の設置なしに目視外飛行を行うことができるため、「長距離」「広範囲」の飛行に向いています。

加えて、2024年6月「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の改正により、レベル3.5飛行については、一時的に移動中の車両の上空を飛行することも可能であることが明示されました。

※バイクや歩行者の上空はレベル3.5飛行でも飛行できません。

ルートで指定したレベル3.5申請
範囲で指定したレベル3.5申請

活用が期待される分野

レベル3飛行では、看板の設置など、費用対効果の観点から事業化が難しい利用方法でも、レベル3.5だと低コストかつスピーディーに運用することができます。

建設分野
効率的な建設資材の運搬レンガ、セメント袋、鉄筋などの建設資材を遠隔地や高層建物の上層部に運搬することができます。特に重たい資材、アクセスが難しい場所での作業をドローンがサポートします。
工具・機械の運搬大型の電動工具や燃料を現場に迅速に届けることができます。これにより、緊急の修理や設置作業がスムーズになることが期待できます。
農林業
飛び地を含めた広範囲の生育調査補助者なしで広範囲の農地を迅速に巡回し、作物の成長状況や病害虫の発生を確認することができます。
肥料や飼料の配送大規模な農地や牧場において、肥料や飼料を効率的に運搬することができます。これにより、作業時間が短縮され、作業者の負担が軽減されます。
苗木の輸送苗木を農場や林地に効率的に輸送することで、植樹作業の効率化が図れます。特に、広範囲にわたる植樹エリアやアクセスが困難な山間部に対して、ドローンを使って迅速に苗木を運搬できます。
水産業
漁獲物の迅速な輸送漁船から陸上の処理施設までの漁獲物の輸送をドローンで行うことで、漁獲物の鮮度を保ったまま迅速に運ぶことができます。
船上への補給漁船に対する緊急物資(例えば、医薬品、工具、食料など)の補給を迅速に行うことができます。これにより、海上での緊急事態に迅速に対応できます。
飲食業
ジビエ、魚介類の配送新鮮さが求められる生鮮食品(ジビエ、魚介類など)の配送において、ドローンを使った迅速な配送が実現できます。これにより、獲れたてを味わうことができます。
キャンプ場への食材、料理の配送キャンプ場へ新鮮な食材(野菜、肉、魚介類など)や調理済みの料理をドローンで配送するサービスができます。キャンプ場での料理がより一層楽しめるようになります。
環境調査
野生鳥獣の調査ドローンを使用して、広範囲にわたる野生鳥獣の生息地を監視します。高解像度のカメラを搭載することで、鳥獣の個体数、分布、行動パターンを詳細に記録し、生態系の健康状態を評価します。
シカ、ヒグマのハント補助ドローンを使って、ハントエリアの状況をリアルタイムで把握し、シカやヒグマの位置を特定します。ハンターの効率的な活動を支援します。
植生モニタリング森林や草原の植生状態を監視し、植生の変化や健康状態を評価します。これにより、環境変動や土地利用の影響を把握し、保全活動をサポートします。
インフラ遠隔点検
送電線の遠隔監視送電線の状態をドローンで定期的に監視し、損傷や異常を早期に発見します。これにより、停電リスクを低減し、保守作業の効率化が図れます。
鉄道線路の遠隔検査山奥などの線路の状態をドローンで定期的に検査し、レールの損傷や異常を早期に発見します。これにより、安全運行を支える保守作業が効率化されます。
医療分野
遠隔医療支援遠隔地の診療所や医療施設、在宅医療を受けている患者に対して、必要な医療品や薬品をドローンで配送することで、患者の生活の質を向上させます。これにより、医療施設への通院負担が軽減されます。
輸血用血液の配送事故現場や緊急手術が必要な患者がいる医療施設に対して、迅速に血液を配送することで、命を救うための迅速な対応が可能となります。アクセスが困難な地域での利用が効果的です。
レジャー産業
個別プレイのライブストリーミング個人のゴルフプレイをリアルタイムでストリーミングし、家族、友人に共有するサービスを提供します。これにより、遠方にいる家族や友人もプレイを楽しむことができます。
ルート案内と安全監視ハイキングやトレッキングルートをドローンで監視し、ハイカーにリアルタイムの案内や安全情報を提供します。これにより、道に迷うことなく、安全にトレイルを楽しむことができます。
小売業
家庭用品の配送離島や山間部など、一般的な配送サービスが届きにくい地域に対して、日常生活に必要な家庭用品(洗剤、キッチン用品など)をドローンで届けることができます。

レベル3.5を上手く使いこなせば、ドローン×ビジネスが無限に想像できます!

レベル3.5飛行は包括申請ではできない

レベル3.5申請は飛行経路図の作成が必要となるため、飛行場所を特定しない包括申請で取得することはできません。

現在、包括申請で許可を取得していても、新たに個別申請で許可申請を行う必要があります。

ただし許可期間については最大1年間で取得可能です。

飛行許可は3~4ヶ月で取得可能

後述しますがレベル3.5申請には「立入管理区画を示した資料」「運航条件等を設定した資料」「機体追加基準に関する書類」「操縦者の過去の飛行実績」「機体の十分な飛行実績を証する資料」が必要となります。

これらを国交省に提出し、事前調整を行う流れとなりますが、レベル3飛行の経験のない事業者様ですと3~4ヶ月ほどかかると思われます。

弊社も初めてのレベル3.5申請では、事前調整から許可取得まで5ヶ月かかりました。

リーガライト行政書士法人はレベル3.5の申請経験が豊富なため、「3日」で国交省との事前調整を完了した実績があります!

レベル3.5飛行許可申請代行についてはこちら

レベル3.5飛行でも立入管理措置は必要

レベル3.5飛行では、補助者の配置や看板の設置などの立入管理措置は不要となりますが、機体カメラでの立入管理措置は必要となりますので、「立入管理措置が不要」という考え方は誤りです

ネットやYouTubeでは誤った情報が出ておりますので、この点は明確に理解しておくことをおすすめします。

レベル3.5の審査は、事実上、地方航空局ではなく国土交通省が行います。
立入管理措置が不要という考え方で事前調整を始めると、難航する恐れがあります。

レベル3.5飛行申請の要件

レベル3.5飛行を行うためには以下の要件を満たしている必要があります。

  • 第三者が存在する可能性が低い場所であること
  • 「落下距離」「初期故障期間」を示すメーカー資料があること
  • 機上カメラを有していること(その他機体要件があります)
  • 無人航空機操縦者技能証明(一等or二等+目視外の解除済)
  • 第三者賠償責任保険に加入していること

第三者が存在する可能性が低い場所であること

レベル3.5の飛行は第三者が存在する可能性が低い場所であることが必要となりますので、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地等の人口密度が低い地域が対象となります。

そのため人口集中地区となっている場所は飛行経路に含めることができません。

DJIがレベル3.5に必要なメーカー資料の提供を開始

2023年12月にレベル3.5は新設されましたが、申請にはメーカーが保証する「落下距離」や「初期故障期間」の情報提供が必要となります。

DJI機体では、この提供を受けることが難しく、レベル3.5申請は難しいのが現状でした。

しかし、2024年5月9日、DJIは、以下機体については、「落下距離」「初期故障期間」の情報提供することを決定しました。

一般向け(カメラドローン)

  • DJI Mavic 3 Pro
  • DJI Mavic 3 Pro Cine
  • DJI Mavic 3
  • DJI Mavic 3 Cine
  • DJI Mavic 3 Classic
  • DJI Air 3
  • DJI Inspire 3

産業用:

  • Matrice 350 RTK
  • Matrice 300 RTK
  • Matrice 30、Matrice 30(Dock版)
  • Matrice 30T、Matrice 30T(Dock版)
  • Matrice 3D
  • Matrice 3TD
  • DJI Mavic 3E
  • DJI Mavic 3T
  • DJI Mavic 3M

DJI Delivery:

  • DJI FlyCart 30

一般用、産業用ドローンともに提供対象に含まれており、今後様々な場所で、補助者なし目視外飛行が可能になる可能性があります。

機上カメラを有していること

レベル3.5は機上カメラを以って立入管理措置を行うため、当然カメラを有していることが許可条件となります。

ただし、その他にも要件がありますので、以下に記載いたします。

  • 機体カメラを有していること
  • カメラからの映像がプロポの画面やPC等に表示されること
  • 機体の位置や異常の有無等がプロポやPC等に表示されること
  • 航空機からの視認をできるだけ容易にするための灯火を有していること
  • 地上の操縦装置の画面において、機体の針路、姿勢、高度、速度を把握できること
  • 地上の操縦装置の画面に気象情報をリアルタイムで表示させ、風向、風速、及び天候の変化を地上で把握できること
  • 地上の操縦装置の画面において、計画上の飛行経路と飛行中の機体の位置の差を把握できること
  • 想定される運用により、十分な飛行実績を有すること

上記のうち、DJI Flyアプリではウェイポイントを指定した経路設定であれば「計画上の飛行経路と飛行中の機体の位置の差を把握できる」と言えますが、マップビュー上にポリゴン(多角形)を描写することができないため、広範囲を指定したレベル3.5飛行は難しくなります。

DJI Pilot2を利用した場合は、ポリゴン(多角形)を地図上に書き込めるため、要件を満たすことができます。

技能証明を有していること

レベル3.5飛行の許可を取得するためには、二等以上の技能証明目視外飛行の限定解除が必要となります。

また25kg以上のドローンを飛行させる場合は、25kgの限定解除も必要です。

一等の技能証明がなくても行えることがポイントです。

第三者賠償責任保険に加入していること

レベル3.5飛行では、一時的に移動中の車両の上空を飛行することが認められています。

そのため、墜落事故等によって第三者の負傷や交通障害等の事態が発生した場合においても、十分な補償できるように、第三者賠償責任への加入が必要となっております。

具体的な補償金額については飛行の内容等によっても異なると考えられることから、必要な補償額は事業者様で設定します。

対人対物1億円がスタンダートです。

レベル3.5飛行申請までの流れ

レベル3.5飛行の申請はDIPSから行うことはできないため、Wordで申請書を作成し、PDFで提出します。

大きく分けると、「国土交通省航空局安全部無人航空機安全課(下図青の航空局)」と「東京/大阪航空局(下図緑の地方航空局)」の2機関とやり取りを行います。

①航空局に事前相談する

飛行の概要をまとめ、航空局安全部無人航空機安全課制度改正担当に事前相談します。

②運航概要宣言書の様式をもらう

事前相談後、航空局より「運航概要宣言書」「レベル3.5飛行マニュアル」の送付があります。

「運航概要宣言書」とは、実施しようとするレベル3.5飛行の概要や、操縦ライセンスの保有、保険への加入、機上カメラ等について、飛行に必要な要件を満たしていることを申請事業者自らが担保し、申請事業者自らをして、それを航空局に宣言するものです。

様式があるため、内容を確認してチェックをしていけばそれほど難しいものではありません。

③レベル3.5飛行の実施に必要な資料を作成する

ここからの資料は様式がありませんので、レベル3の経験がない事業様にとって難関なポイントです。

レベル3.5飛行の実施にあたっては、以下の資料の作成が必要となります。

  • 運航条件等設定書
  • リスク評価と対策の資料
  • 「飛行範囲」と「立入管理区画(メーカーが保証した落下距離の範囲内)」を示した経路図
  • 無人航空機がレベル3.5の追加基準に適合していることを示す資料
  • 操縦者がレベル3.5飛行の追加基準に適合していることを示す資料
  • 想定される運用において、機体の初期故障期間を超えた十分な実績を示す資料

運航条件等設定書

「運航条件等設定書」とは、「使用する機体の性能、取り付けるカメラ装置、地上のモニター装置など特性」、「横断する道路等の状況」、「周囲の地形や障害物件」から想定されるリスクを考慮し、飛行を実施するにあたっての地上及び飛行視程、視程障害、道路等の上空を通過して飛行する際の速度及び高度、通過を決心する際の位置及び高度、通信速度、場所及び飛行の方法に応じて生じるおそれがある飛行のリスクと対策を事前に定めた資料です。

以下のようなことを記載します。

  • 地上及び飛行視程
  • 視程障害
  • 道路等通過飛行速度
  • 道路等通過飛行高度
  • 道路等上空通過の決心点
  • 飛行の経路及び飛行の方法に応じて生じるおそれがある飛行のリスクと対策 ※1
  • 設置する地上設備(モニター等)、無人航空機に装備するカメラ及び通信装置等の構成(通信速度等)

※1は欄内に書ききることが難しいため、下の「リスク評価と対策の資料」として作成することをおすすめします。

リスク評価と対策の資料

運航条件等設定書において「飛行の経路及び飛行の方法に応じて生じるおそれがある飛行のリスクと対策」を記入する欄がありますが、書ききれないため、別紙として「リスク評価と対策の資料」を作成することをおすすめします。

リスクは、予測される頻度(被害の発生確率)と結果の重大性(被害の大きさ)により計量します。

そのため、その対策は、①事象の発生確率を低減する対策、②事象発生による被害を軽減する対策を意識して策定します。

また、リスク評価には、事故等につながりかねない具体的な「ハザード」を可能な限り多く特定することが重要です。

ハザードの洗い出しのためにも、運航計画(CONOPS)を明確にする必要があります。(いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どのように)

そして、策定した対策が、効果的か実現可能かを最終評価します。

リーガライト行政書士法人発行:ドローン操縦者試験テキスト&問題集より

本資料を作成するにあたっては、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構福島ロボットテストフィールドの安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドラインが参考となります。

レベル3.5飛行許可申請代行についてはこちら

「飛行範囲」と「立入管理区画(メーカーが保証した落下距離の範囲内)」を示した経路図

レベル3.5飛行では、飛行経路図の作成が必要となります。

加えて、飛行経路図にはメーカーが保証した落下距離の範囲内を立入管理区画として示す必要があります。

以下の経路図はレベル3のものですが、同じような資料作成が必要となります。

出典:航空局カテゴリ―Ⅱ(レベル3)飛行の許可・承認申請に関する説明会資料より

メーカーが保証した落下距離は各メーカーにより算定方法が異なりますが、概ね水平投射の公式をベースに算定されていることが多いです。

リーガライト行政書士法人発行:ドローン操縦者試験テキスト&問題集より

無人航空機がレベル3.5の追加基準に適合していることを示す資料

実機の写真や取扱説明書などをもとにこちらで示した機体要件を満たしていることを証明した資料を添付します。

操縦者がレベル3.5飛行の追加基準に適合していることを示す資料

航空局の無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)にレベル3.5飛行で操縦者に求めれる要件が示されているため、それを満たしていることを証する資料を作成します。

想定される運用において、機体の初期故障期間を超えた十分な実績を示す資料

機械・装置の機器の使用開始直後は、製造上の欠陥によって初期故障が発生する可能性があります。

ただし、時間とともにこれらの故障は取り除かれます。

この取り除かれるまでの期間を初期故障期間といいます。

レベル3.5の飛行では、上記図で示すピンク色の期間(偶発故障期間)で実施されることが求められます。

これらを示すために、①メーカーから初期故障期間の証明を受け、②その時間を越えていることがわかる資料を提出します。

④運航概要宣言書一式を航空局に提出する。

ここまでで作成した運航概要宣言書、運航条件等設定書、リスク評価と対策の資料、飛行経路図を、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課に提出します。

無事、調整が完了したら「航空局管理番号」が付与された運航概要宣言書をもらうことができます。

併せて、東京/大阪航空局に提出するための「レベル3.5飛行用申請様式」も受け取ります。

⑤レベル3.5飛行用申請を東京/大阪航空局に提出する。

レベル3.5飛行の申請書を作成したら、管轄の地方航空局(大阪又は東京)に提出します。

DPISからは申請できないので、ワードで1から申請書を作成する必要があります。

DIPSでの申請に慣れている方には少しわかりにくいかもしれませんが、必要な書類と様式は以下のとおりです。

レベル3.5で必要な書類提出の必要性(作成はいずれも必要)
様式1 無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書(カテゴリーⅡ飛行)必要
様式2 無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書必要
様式3 無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書必要
別添資料1 飛行の経路不要
(飛行範囲、及びその外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画として地図上に示した資料で作成済みのため)
別添資料2 無人航空機の登録記号等、製造者、名称、重量等不要(作成は必要)
別添資料3 無人航空機の運用限界等不要(作成は必要)
別添資料4 無人航空機の追加基準への適合性必要
(無人航空機の機能・性能及び飛行形態に応じた追加基準に関する基準適合状況を示せる資料で作成済みのため、簡易的な様式)
別添資料5 無人航空機を飛行させる者一覧必要
別添資料6 無人航空機を飛行させる者の追加基準への適合性必要
(操縦者にかかる飛行形態に応じた追加基準への適合性について、過去の飛行実績又は訓練実績等を記載した資料で作成済みのため、簡易的な様式)
別添資料7 飛行マニュアル不要(作成は必要)
別添資料8 総重量25kg以上の無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認25kg以上の機体の場合、必要
レベル3.5の要件の適合性を示す資料提出の必要性(作成はいずれも必要)
飛行に際し想定されるリスクを十分に考慮の上、安全な飛行が可能となる運航条件等を設定した資料(運航条件設定書、リスク評価と対策の資料)不要(作成は必要)→本省がチェック済みのため
無人航空機の機能・性能及び飛行形態に応じた追加基準に関する基準適合状況を示せる資料不要(作成は必要)→本省がチェック済みのため
操縦者にかかる飛行形態に応じた追加基準への適合性について、過去の飛行実績又は訓練実績等を記載した資料不要(作成は必要)→本省がチェック済みのため
飛行範囲、及びその外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画として地図上に示した資料不要(作成は必要)→本省がチェック済みのため
想定される運用により、十分な飛行実績(機体の初期故障期間を超えたもの)を有することを示せる資料不要(作成は必要)→本省がチェック済みのため

レベル3.5では、提出が不要となる資料がありますが、あくまでも提出が不要なだけであくまで、作成は必要ですので、包括申請とは異なることに注意しましょう。

レベル3.5飛行許可申請代行についてはこちら

⑥許可取得

国土交通省航空局安全部無人航空機安全課との事前調整が完了しているため、東京/大阪航空局での審査は比較的早く完了します。

DIPS申請ではないため、許可書は紙媒体で発行されます。

返信用封筒の送付が必要になりますので注意しましょう。

⑦飛行前には有人航空機団体と航空局に事前連絡をする

飛行を行う1週間前までに有人航空機団体に飛行内容の周知を行う必要があります。

また、飛行を行う日の 1 開庁日前までには、航空情報(NOTAM)発行のため、飛行する場所を管轄する地方航空局長へ、飛行の詳細を通知する必要があります。

参考:消防防災ヘリコプター運航団体の連絡先について

総務省消防庁では、消防防災ヘリコプターの安全運航に向けた取組として、レベル3以上の飛行における各消防防災ヘリコプター運航団体の連絡先を掲載しています。

https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/bousaiheri/bousaiheri001.html

参考:ドクターヘリ事業者の連絡先

厚生労働省では、ドローンの飛行に係るドクターヘリ事業者との事前調整に係る連絡先を掲載しています。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001129368.pdf

その他にも民間の運航団体、警察ヘリの団体などがありますので、注意しましょう。

⑧飛行

ここまでの手続きが終わったら、運航概要宣言書に従い、飛行を行います。

【最速】株式会社高橋組と共同で、DJIドローンでレベル3.5飛行許可を取得しました。

2024年5月28日、リーガライト行政書士法人は北海道浜頓別町での飛行について、DJI機体にて、レベル3.5の飛行許可を取得しました。

飛行の目的は、運送やインフラ点検ではなく、「野生鳥獣の個体調査等を目的とした空撮」です。

運用上、飛行ルートを指定した飛行では対応ができないため、範囲内を自由に飛行できる許可を取得しました。

今回、取得させていただきました株式会社高橋組高橋氏からレベル3.5のメリットを伺いました。

Q. レベル3.5の飛行ができるとどんなメリットがありますか?

高橋氏:

今までの飛行は、第三者が立ち入ることの可能性が低い場所でも、補助者の配置やフェンス、看板の設置が義務付けられていました。野生動物を主としてドローンを使用するには限りがあり、突如として出没するヒグマに関しては、補助者の要請やフェンスや看板の設置する間、ヒグマの行き先もわからず、被害防止の為にも利用したいのに使用できない難題でありました。

しかしながら、レベル3.5では、補助者の配置やフェンス、看板の設置を行わず飛行ができることにより野生動物にも即座に対応できるというメリットがあります。

株式会社高橋組様にレベル3.5飛行を取材したコラボ動画

今回取得したレベル3.5許可により、真に現場で必要とされるドローン飛行ができると感じました。

リーガライト行政書士法人は、レベル3.5の取得実績が多数あります。

お気軽にご相談ください。

レベル3.5飛行許可申請代行についてはこちら

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