【更新】ドローン登録更新講習機関の設立要件、講習内容、申請方法【技能証明】

ドローン免許 技能証明の更新方法やスケジュール

行政書士 中島北斗

2025年3月5日に技能証明の更新講習を行うことができる「登録更新講習機関」の設立に関する資料が公開されました。
2025年4月から技能証明取得者の更新手続きが本格化します。
スクール関係者の方々はこのウェーブに乗り遅れないようにしましょう!

技能証明書(ドローン免許)の更新制度とは

ドローン技能者証明書の有効期限は航空法により3年間と定められています。

技能証明の更新を希望する方は、「登録更新講習機関」で無人航空機更新講習を受講・修了し、身体検査に合格した上で、国土交通省へ更新申請する必要があります

この無人航空機更新講習を行うことができる民間スクールを「登録更新講習機関」と言います。

登録更新講習機関になるためには、国交省への登録申請が必要です。

新規の技能証明取得をサポートする「登録講習機関」として登録を受けているスクールであっても、登録更新講習機関としての登録を受けなければ、更新講習を行うことはできません。

一方、登録講習機関と登録更新講習機関の両方を登録することも可能です。

登録更新講習機関の役割

2025年4月から技能証明更新希望者が続々と現れることが予想されるため、設立をする場合は早めの手続きがオススメです。

https://naka4.com/drone/koshinkikan_ryokin/

<技能証明保持者>技能証明書の更新の流れ

技能証明書の有効期限は3年間です。

更新手続きをせずに満了した場合は、新規で取り直す必要があります。

技能証明を有している方は、技能証明書満了日の6ヶ月前から、DIPSでの技能証明更新申請可能になります。

更新講習修了証明書の有効期限は3ヶ月です。

技能証明書(ドローン免許)の更新を行うためには、次の2つを行う必要があります。

<技能証明保持者>技能証明書の更新の流れ

  • 「登録更新講習機関」にて無人航空機更新講習を受講・修了するとともに、身体適性を確認する。
  • 国土交通省に対して、技能証明書の更新交付手続きを原則オンライン(DIPS2.0)にて行う。

「登録更新講習機関」としての手続きを行なっていない登録講習機関では更新講習は受講できません。

最初の更新講習が必要になるのはいつから?

技能証明書は3年間のため、交付を受けてから3年を迎えるまでに登録更新機関の受講・修了を終え、DIPS上から更新申請を行う必要があります。

技能証明書を最速で取得した人の更新スケジュール

二等無人航空機操縦士の技能証明書は、2023年1月24日に初めての交付が行われています。

国土交通省:https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000226.html

そのため、一番早い人で2026年1月23日に技能証明の有効期限が満了します

更新講習の受講技能証明書の更新予定日の3か月前から受講可能
※更新講習修了証明書の有効期限が3ヶ月のため。
更新申請の手続き技能証明書満了日の6ヶ月前からDIPS上で手続き可能
※修了証明書の有効期間が発行から3ヶ月以内のため早めに手続きを行う必要がある

なお、一等無人航空機操縦士の技能証明書は、2023年2月14日に初めての交付が行われています。

国土交通省:https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000226.html

そのため、一番早い人で2026年2月13日以降に技能証明の有効期限が満了します

登録更新講習機関の講習内容

以下、マルチローターに関する更新講習の内容です。

停止処分者向け講習は行わないという登録更新講習機関は認められませんが、当面は停止処分者向けの講習が必要となるケースは生じない可能性が高いです。

通常の受講者向け講習停止処分者向け講習
一等二等一等二等
学科講習75分50分105分80分
実地講習なしなし15分11分

※昼間や目視内、25kg未満の限定変更用の更新講習はありません。

※身体適性検査を実施する登録更新講習機関は、「医師を更新講習機関内に常駐させる」または「医師又は医療機関と業務委託契約を結ぶ」必要があります。
一等25kg以外の更新申請では、自動車運転免許証で身体検査をクリアできるため、主流はそちらになると思われます。

身体適性検査を実施するかどうかは登録更新講習機関で決めることができます。

<ポイント>

  • 登録更新講習機関は通常の受講者向け講習と停止処分者向け講習の両方の実施が必要
  • 停止処分者は断るというような運用は不可
  • 通常の受講者向け講習では実地講習は不要
  • 身体適性検査は行わないという申請が可能

学科講習の内容

学科講習は航空局から提供される「教本」と「視聴覚教材」を使用して行います。

つまり「①教本を用いた講師による講習」と「②視聴覚教材を用いた講師による講習」を行う形となります。

「教本」と「視聴覚教材」の内容は以下は以下のとおりです。

通常の受講者向け講習停止処分者向け講習
教本・無人航空機操縦士技能証明制度の概要
・無人航空機操縦者が遵守すべき事項
・事故・重大インシデント事例及び教訓
・最近の無人航空機関連の制度改正
・運航ルール・事故防止に関する情報
・一等無人航空機操縦士が留意すべき事項(一等のみ)
・通常の受講者向け講習の科目
・技能証明の効力の停止を受けた者が留意すべき事項
視聴覚教材<映像を通じて視覚的に学ぶ>
・事故・重大インシデント事例及び教訓
・一等無人航空機操縦士が留意すべき事項(一等のみ)
通常の受講者向け講習と同じ

学科講習の実施方法は大きく3つあります。

学科講習の実施方法 ①対面講習

航空局の「教本」と「視聴覚教材」を用いて、対面で講習を行う方法です。

学科講習の実施方法 ②Zoom等のビデオ会議システムを利用した講習

航空局の「教本」と「視聴覚教材」を用いて、Zoom等で講習を行う方法です。

この場合、学科講習の修了とするには、最後に対面で講習の効果測定(以下、修了演習)を行う必要があります。

「修了演習」は、合否を判定するものではなく、講師とともに演習を行うことで理解度を測り、講師が必要なアドバイスを行うことが想定されております。

使用する問題等は、机上試験の問題を準用したケーススタディ形式で、登録更新講習機関で準備することが想定されています。

学科講習の実施方法 ③eラーニングを利用した講習

航空局の「教本」と「視聴覚教材」を用いて予め撮影した講習動画を、再生履歴等を取得できるシステムで受講生に視聴してもらう講習方法です。

こちらも最後には、対面で講習の効果測定(以下、修了演習)を行う必要があります。

「修了演習」は、合否を判定するものではなく、講師とともに演習を行うことで理解度を測り、講師が必要なアドバイスを行うことが想定されております。

使用する問題等は、机上試験の問題を準用したケーススタディ形式で、登録更新講習機関で準備することが想定されています。

<ポイント>

  • Zoom学科講習やeラーニングでも、最後には「対面」での修了演習が必要です。

実地講習の内容

実地講習は通常の受講者には実施不要であり、

アルコール、麻薬等の中毒者であることが判明したり、法令違反、飛行にあたり非行・重大な過失があったことにより「技能証明の効力の停止(3か月、6か月、1年)を受けた方」=「停止処分者」に実施する必要があります。

停止処分者は受け入れないという運用はできませんので注意しましょう。

以下、マルチローターに係る実地講習の内容です。

一等二等
操縦演習緊急着陸を伴う8の字飛行異常事態における飛行
操縦演習に基づく指導及び質疑応答上に対するレビュー等上に対するレビュー等

※昼間や目視内、25kg未満の限定変更用の更新講習はありません。

実地講習の受講者数は、講師一人につき一人であることが必要となります。

登録講習機関とは異なり、実地講習のみで修了審査は行いません。

そのため、修了審査員の設置もありません。

実地講習の実施方法は大きく2つあります。

実地講習の実施方法 ①対面講習

実機を使い、対面で実地講習を行う方法です。

実地講習の実施方法 ②操縦シミュレーターを利用した講習

登録講習機関とは異なり、登録更新講習機関は実地講習の全てをシミュレーターで行うことが可能です。

操縦シミュレーターの要件は、「登録更新講習機関の講習の内容の基準等を定める告示」に記載がありますが、具体的には「更新講習用シミュレーター設定ガイダンス」が参考になります。

登録更新講習機関の要件

前述のとおり、登録更新講習機関とは、技能証明書の「更新のために講習」を行う機関であり、既存の登録講習機関とは異なる機関です。

概ね登録講習機関に求められる要件と類似していますが、以下に登録更新講習機関の要件を示します。

講師要件

マルチローターの講師になる方は以下の要件を満たす必要があります。

<一等の登録更新講習機関の場合>

  • 一等無人航空機操縦士の技能証明を有する者(夜間・目視外解除済み)で、技能証明を取得してから1年以上無人航空機を飛行させた経験を有する者。

<二等の登録更新講習機関の場合>

  • 二等無人航空機操縦士の技能証明を有する者(夜間・目視外解除済み)で、技能証明を取得してから6か月以上無人航空機を飛行させた経験を有する者。

マルチローターの登録更新講習機関において、新規の登録講習機関のような経過措置(講師経験)では認められませんので注意しましょう。

講義室の要件

学科講習を行うための講義室の要件となります。

  • 占有(賃貸も含む)していること
  • 建物周辺の環境について、講義を行うのに支障がないこと。

オンライン又はeラーニングの場合でも「対面での修了演習」が必要になるため講義室は必須です。

空域要件

停止処分者向け講習を行う際に使用する実地講習用の空域の要件は以下のとおりです。

通常の受講生向けの講習では空域は使用しません。

  • 占有(賃貸も含む)していること
  • <一等>屋外×13m(縦)×18m(横)×5m(高)の大きさがあること
  • <二等>8m(縦)×21m(横)×5m(高)の大きさがあること
  • 上記広さに加えドローンの高度と同じ距離以上離れ、ドローンを目視しながら飛行できる空間があること。

※操縦シミュレーターによる実地講習を行う場合は空域がなくても登録可能です。

https://naka4.com/drone/koshinkikan_ryokin/

機体要件

停止処分者向け講習を行う際に使用する実地講習用の機体の要件は以下のとおりです。

通常の受講生向けの講習では実機は使用しません。

  • 対角上のプロペラの中心点の距離が20cm以上であること
  • 風圧抵抗が5m/s以上あること
  • 15分以上の飛行が可能であること
  • 位置安定機能が作動すること
  • 位置安定機能を送信機から解除できること
  • オーバーライドができること
  • プロペラガードを装着できること

その他にも「修了審査の内容を適切かつ安全に行うことができるもの」「機体仕様通りに飛行できる状態であること」などの要件がありますが、このあたりはクリアしているケースが多いと思います。

なお、操縦シミュレーターによる実地講習を行う場合は機体がなくても登録可能です。

操縦シミュレーターの要件

停止処分者向け講習では、操縦シミュレーターを用いた講習を行い、実機は使用しないということも可能です。

その場合は「機体」と「空域」がなくても登録更新講習機関としての登録可能です。

※逆に「機体」と「空域」があれば操縦シミュレーターは不要です。

操縦シミュレーターの要件は、「登録更新講習機関の講習の内容の基準等を定める告示」に記載がありますが、具体的には「更新講習用シミュレーター設定ガイダンス」が参考になります。

登録更新講習機関の登録までの流れ

登録の要件を満たすことができたら、登録申請を行うことができます。

ドローン登録講習機関の登録までの流れは以下のとおりです。

 ドローン登録更新講習機関の登録までの流れ

  • gBizIDプライムの取得
  • DIPS2.0のアカウントの作成
  • 登録申請(DIPS2.0上)
  • 必要書類の準備・送付(電子メール)
  • 審査開始
  • 審査完了
  • 登録免許税の納付
  • 登録更新講習機関の登録証の交付
  • 無人航空機更新講習事務規程の作成と送付(電子メール)
  • 確認(審査)開始
  • 確認(審査)完了
  • 管理者講習の実施(すでに登録講習機関の管理者であっても実施が必要)
  • 講師講習の実施(すでに登録講習機関の講師であっても実施が必要)
  • ドローン登録更新講習機関として、講習開始!

登録更新講習機関の登録免許税

登録更新講習機関の登録を行う際の登録免許税は、一等二等どちらの場合でも一律 9 万円です。

例えば、二等のみでは9万円、一等二等の場合は18万円となります。

登録更新講習機関の申請様式

登録更新講習機関の申請様式は「登録更新講習機関の登録等に関する取扱要領」にあります。

より補足事項や提出先は「登録更新講習機関の登録等の事務処理に関するガイドライン」にあります。

https://naka4.com/drone/koshinkikan_ryokin/

登録更新講習機関の更新費用の目安

登録更新講習機関は事務規程で講習手数料を設定する必要があります。

講習時間数、会場費用、講師費用などを加味すると、更新講習として利益を出すためには「2万円~3万円」がラインになってくると推測します。

登録更新講習機関にも毎年の固定費として「監査費用」がありますので、こちらも考慮した料金設計をおすすめします。

※もちろん更新費用はスクール様の経営方針により自由に届出が可能です。

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執筆者:
行政書士 中島北斗

ドローンの規制(改正航空法)が始まった2015年当初からドローン申請業務を行っている行政書士が、ドローン法令の遷移を生で感じていたからこそわかる、リアルで正確性な情報を発信いたします。
ドローン許可取得実績は13,000件、相談実績は16,000件、また60校を超えるドローンスクールの顧問をしています。

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