令和7年2月1日に「無人航空機の飛行の安全に関する教則」が改訂され、第4版となりました。
令和7年4月17日より、日本海事協会の学科試験の内容は、「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第4版)」に準拠し、出題されます。
行政書士 中島北斗
この記事では「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第4版)」の改訂点、そのポイントなどを解説します! この記事を読むと、技能証明の学科試験の対策をすることができます。
「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第4版)」改訂により学科試験はいつからかわる? 日本海事協会の学科試験の内容は、令和7年4月17日より、「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第4版)」に準拠し、出題されます。
それでは、具体的にどう変わったのか改訂された箇所を一つ一つ見ていきましょう。
2.1.8 事故を起こしたときに操縦者が負う法的責任 (3) 行政処分等 航空法(昭和 27 年法律第 231 号) への違反や無人航空機を飛行させるに当たり非行又は重大な 過失があった場合には、次のような行政処分等 の対象となる。 ①技能証明の効力の取消し ②技能証明の効力の停止(期間は1年、6か月、3か月 のいずれか)③文書警告 ④口頭注意
赤字が追記された項目です。
①と②が行政処分、③と④は行政指導です。
一般的に、行政処分は法律に基づき、義務を課したり権利を制限したりする強制力のある措置で、
行政指導は法律に基づかず、行政機関が任意の協力を求める強制力のない指導や助言です。
以上の理由より、 行政処分等 に「等」が追加されたのだと思われます。
行政処分等の詳細については後述します。
2.2.4 地域情報の収集 地域によっては、地方公共団体により無人航空機の飛行を制限する条例や規則が設けられていたり、立入禁止区域が設定されていたりする場合があることから、緊急用務空域や飛行自粛要請空域の情報も含め 飛行予定地域の情報を収集する。
緊急用務空域 とは、警察、消防活動などの緊急用務を行うため、航空機の飛行が想定される場合に、無人航空機の飛行を原則禁止する空域(緊急用務空域)が一時的に指定されます。
飛行自粛要請空域 とは、法令等に基づく規制ではありませんが、警備上の観点等から警察などの関係省庁等の要請に基づき、国土交通省が自粛を要請するものです。
緊急用務空域も飛行自粛要請空域も、設定された場合は、国土交通省のホームページやX(旧Twitter)でお知らせされますので、飛行前には確認するようにしましょう。
2.3.1 事故を起こしたら 機体が墜落した場合には、地上又は水上における交通への支障やバッテリーの発火等により周囲に危険を及ぼすことがないよう 、 機体 が通電している場合は電源を切る など 速やかに措置を講ずる。 プロペラがまだ回転している場合は不用意に機体に接近せず十分に注意する。
当然のことではあります。学科試験において一般常識で解ける問題でしょう。
2.3.3 保険 無人航空機の保険は、車の自動車損害賠償責任保険(自賠責)のような強制保険はなく、すべて任意保険であるが、万一の場合の金銭的負担が大きいので、保険に加入しておくとよい。無人航空機の保険には、機体に対する保険、賠償責任保険などいろいろな種類や組合せがあるので自機の使用実態に即した保険に加入することが推奨される。 なお 、カテゴリーⅡ飛行のうち一部の飛行(レベル3.5 飛行を参照)にあたっては、不測の事態が発生した場合に十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していることが求められる。
レベル3.5飛行では保険加入が許可条件になっているため、そのことが教則反映された形となります。
「十分な補償」の金額については決まりはなく、飛行条件を加味し、事業者の責任で設定することとなります。
3.1.1 航空法に関する一般知識 3)無人航空機の飛行形態の分類(カテゴリーⅠ~Ⅲ) a. カテゴリーⅠ飛行(レベル1 (目視内での操縦飛行)、レベル2(目視内での自動•自律飛行))
特定飛行に該当しない飛行を「カテゴリーⅠ飛行」という。この場合には、航空法上は特段の手続きは不要で飛行可能である。
b. カテゴリーⅡ飛行(レベル3 (無人地帯での目視外飛行))
特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において無人航空機を飛行させる者及びこれを補助する者以外の者(以下「第三者」という。)の立入りを管理する措置(以下「立入管理措置」という。)を講じたうえで行うものを「カテゴリーⅡ飛行」という。 カテゴリーⅡ飛行のうち、特に、空港周辺、高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送及び物件投下並びに最大離陸重量25kg以上の無人航空機の飛行は、リスクの高いものとして、「カテゴリーⅡA飛行」といい、その他のカテゴリーⅡ飛行を「カテゴリーⅡB飛行」という。
c. カテゴリーⅢ飛行(レベル4(有人地帯での目視外飛行) )
特定飛行のうち立入管理措置を講じないで行うもの、すなわち第三者上空における特定飛行を「カテゴリーⅢ飛行」といい、最もリスクの高い飛行となることから、その安全を確保するために最も厳格な手続き等が必要となる。
なお、上記のカテゴリーによる分類とレベルによる分類は厳密には一致しない場合があるため注意が必要である。また、b.カテゴリーⅡ飛行(レベル3(無人地帯での目視外飛行))には、レベル 3.5 が含まれるが、これについてはレベル 3.5 飛行で解説する。
飛行カテゴリーと飛行レベルの対応が追記されました。
ただカテゴリーⅡ飛行はレベル3だけに限られない(例:補助者ありの目視外飛行はレベル3ではないがカテゴリーⅡ飛行に該当)等、下の赤字のとおり、厳密には一致しない場合があるため注意が必要です。
航空局の意図を踏まえると、レベル3、レベル3.5はカテゴリーⅢではなく、あくまでもカテゴリーⅡの範疇であることを示したいものと思われます。
飛行カテゴリーと飛行レベルを詳細に確認したい方は以下の記事を参考にしてください。
3.1.1 航空法に関する一般知識 3)航空機の飛行高度 150メートル以下での航空機の飛行は離着陸に引き続く場合が多いが、捜索又は救助を任務としている公的機関(警察・消防・防衛・海上保安庁)等又はこれらの者の依頼により捜索又は救助を行う 航空機や救急医療用ヘリコプター(いわゆるドクターヘリ) 及び低空での飛行の許可を受けた航空機(物資輸送・送電線巡視・薬剤散布)等もしくは人又は家屋のない地域及び広い水面の上空で は離着陸にかかわらず 150 メートル以下で飛行している場合がある。
航空機には、最低安全高度というものが定められており、離着陸を除いて、一定の高度以下では原則飛行させることができません。
逆に無人航空機は高度150m未満での飛行が必要となり、これにより空域の分離が図られています。
ただし、航空機は離着陸以外にも、「捜索又は救助のための特例が適用された場合」、「事前に低空飛行の許可を受けた場合」、「人又は家屋のない地域及び広い水面の上空」では、高度150m以下で飛行している可能性があるため注意が必要であることが記載されています。
今回の改訂では、①捜索又は救助のための特例として、公的機関から依頼を受けた者も含まれるということと、②人又は家屋のない地域及び広い水面の上空では高度150m以下で飛行している可能性があるということが追記されました。
【航空機が高度150m以下で飛行している可能性があるケース】
離着陸時 捜索又は救助のための特例飛行 低空飛行許可を受けた飛行 人又は家屋のない地域及び広い水面の上空 Droby(ドロビー)ならハイレベル×低コストでeラーニング 登録講習機関eラーニングシステム「Droby(ドロビー)」では、国交省告示の要件を満たした講習動画と教材を提供しております。
ドローン登録講習機関 eラーニングシステム「Droby」
3.1.1 航空法に関する一般知識 6)航空機の空域の概要 無人航空機は、高度150メートル以上又は空港周辺の空域の飛行は原則禁止されているが、これは航空機が主に飛行する 空域との分離を図ることにより、安全を確保するためである。
前述のとおり150m未満の空域も航空機が飛行する可能性があるため、「が主に飛行する」というのが追加されたものと思われます。
試験対策としては、①離着陸、②特例飛行、③低空飛行許可、④人又は家屋のない地域及び広い水面の上空では、航空機も高度150m未満で飛行する可能性があるということを覚えておきましょう。
3.1.1 航空法に関する一般知識 7)模型航空機に対する規制 重量100グラム未満のものを含む 模型航空機についても、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為は航空法により規制されている。
模型航空機とは、航空局「安全な飛行のためのガイドライン」より、ゴム動力模型機、重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)100g未満のマルチコプター・ラジコン機等とされています。
そのうち、ゴム動力模型機は、無人航空機の要件である遠隔操縦または自動操縦を満たさないため、100g以上でも基本的には模型航空機に該当します。
つまり無人航空機としての規制は受けないものの、模型航空機の規制は受けます。
第3版の記載方法では、大型のゴム動力模型機など、「100g以上の模型航空機」については触れていない記載になっていたため、より正確な表現のため「100g未満のものを含む模型航空機」と改訂になったものと思われます。
3.1.2 航空法に関する各論 b.目視による常時監視 無人航空機の操縦者は、当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させることが原則とされ、それ以外の飛行の方法(目視外飛行)は、航空法に基づく規制の対象となる。 「目視により常時監視」とは、飛行させる者が自分の目で見ることを指し、双眼鏡やモニター(FPV(First Person View)を含む。)による監視や補助者による監視は含まない(眼鏡やコンタクトレンズの使用は「目視」に含まれる)。なお、安全な飛行を行うためにバッテリー残量を確認する目的等で無人航空機から一時的に目を離し、モニターを確認する等は目視飛行の範囲内とる。
令和6年6月10日に改正された「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の内容が反映されたものになっています。
まとめると、以下の 2 点を満たすモニター確認については、ドローン飛行中であっても目視外飛行には該当しないという取り扱いです。
安全な飛行のために必要なモニター確認であること(バッテリーの確認、電波状況の確認、機体の位置確認など) 瞬間的であること 【 目視外飛行に該当する例 】
・しっかりとカメラに被写体が写っているか確認をするため、瞬間的にモニター映像を確認する(安全な飛行のために必要な確認ではないため)
・機体の位置情報を確認するためにモニターを注視する(安全な飛行には必要であるが、瞬間的ではないため)
3.1.2 航空法に関する各論 d.催し場所上空 無人航空機の操縦者は、多数の者の集合する催しが行われている場所の上空における飛行が原則禁止されている。
「多数の者の集合する催し」とは、特定の場所や日時に開催される多数の者が集まるものを指す。その該当の有無については、催し場所上空において無人航空機が落下することにより地上等の人に危害を及ぼすことを防止するという趣旨に照らし、集合する者の人数や規模だけでなく、特定の場所や日時に開催されるかどうかによって総合的に判断される。
なお、飛行許可・承認の取得の有無によらず、飛行予定経路下において想定していない「多数の者の集合する催し」が開催されることが明らかになり、飛行場所に第三者の立入り又はそのおそれのあることを確認したときは、直ちに当該無人航空機の飛行を停止し、飛行経路の変更、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがない場所への着陸その他の必要な措置を講じなければならない。
具体的には、次のとおり。
該当する例
祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート等のイベント、ドローンショー(自社敷地内、無人の競技場内等、第三者の立入管理措置が行われていることが明白である場所での事前練習や企業向けの配信用撮影等を除く)、花火大会、町内会の 盆踊り大会、マラソン、街頭パレード、選挙等における屋外演説会 、デモ(示威行為)
該当しない例
関係者のみが参加する催し場所上空の飛行
自然発生的なもの(信号待ちや混雑により生じる人混み 等)
令和6年6月10日に改正された「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の内容が反映されたものになっています。
該当する例については、過去の出題傾向からここの記載以外のものが問われることはないと思われます。 ※リーガライト行政書士法人が受けた経験に基づき。
関係者の定義については後述します。
3.1.2 航空法に関する各論 f. 物件の投下 無人航空機の操縦者は、当該無人航空機から物件を投下させることが原則禁止されている。
物件の投下には、水や農薬等の液体や霧状のものの散布も含まれる。無人航空機を使って対象物件を地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為や輸送した物件を地表に置く 行為は、物件の投下には含まれない。
令和6年6月10日に改正された「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の内容が反映されたものになっています。
ドローンから①地上の人に受け渡す行為、②地上に物件を置く行為は投下にはならないということです。
3.1.2 航空法に関する各論 a. 捜索又は救助等のための特例 国や地方公共団体又はこれらから依頼を受けた者が、事故、災害等に際し、捜索又は 救助を目的として 無人航空機を飛行させる場合には、特例として飛行の空域及び方法の規制が適用されない。ここで、「捜索又は救助」とは、事故や災害の発生等に際して人命や財産に急迫した危難のおそれがある場合において、人命の危機又は財産の損傷を回避するための措置を指しており、当該措置をとることについて緊急性がある飛行については、本特例が適用されることとなる。例えば、大規模災害発生時においては、多数の道路の寸断や集落の孤立が発生する可能性があることから、被災者の捜索又は救助に加え、被災地の孤立地域等への医薬品、衛生用品、食料品、飲料水等の生活必需品の輸送、危険を伴う箇所での調査・点検のほか、住民避難後の住宅やその地域の防犯対策のための無人航空機の飛行も含め、当該特例の対象となる。これらについては通達「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」や「航空法第 132 条の 92 の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン」において規定されており、またこの特例の具体的な適用事例は国土交通省ホームページに参考資料として示されている。 なお、災害時の対応であっても、国や地方公共団体にかかわらない独自の活動にあっては、特例の対象とはならず、国の飛行の許可・承認などの手続き等が必要となる。
令和6年1月1日に起きた能登半島地震 をうけ、ドローンの特例飛行の「捜索又は救助」の範囲が議論されました。
この議論を踏まえ、令和6年11月29日に「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の内容が改正され、捜索又は救助の範囲が明確化されました。
それが反映されたものになっています。
ポイントは以下のとおりです。
【捜索又は救助とは】
事故や災害の発生等に際して、人命に差し迫った危機のおそれ(災害関連死を含む)、又は財産に差し迫った危機のおそれがあり、これらを回避するための措置(調査・点検、捜査等の実施を含む。) ※災害関連死とは、地震や津波などの災害による直接的な被害(建物の倒壊や火災など)ではなく、避難生活中のストレスや持病の悪化、医療体制の崩壊など、災害に関連した間接的な要因で亡くなることを指します。
【緊急性があるとは】
当該措置をとることについて、飛行の許可・承認申請を行う手段又はいとまがない状況 国、地方公共団体、これらの者から依頼を受けた者が、人命又は財産の損傷を回避するため、捜索、救助、調査、点検等をいち早くドローンで行う必要がある場合は、特例飛行が適用されますということになります。
特例の具体的な適用事例:https://www.mlit.go.jp/koku/content/001846242.pdf
Droby(ドロビー)ならハイレベル×低コストでeラーニング 登録講習機関eラーニングシステム「Droby(ドロビー)」では、国交省告示の要件を満たした講習動画と教材を提供しております。
ドローン登録講習機関 eラーニングシステム「Droby」
3.1.2 航空法に関する各論 a. 第三者及び第三者上空の定義 (b) 無人航空機の飛行に間接的に関与している者
<中略>
例:映画の空撮における俳優やスタッフ、学校等での人文字の空撮における生徒 等
間接関与者の具体例が追記されました。
ただあくまでも一例であり、彼らが直ちに間接関与者に該当するとは言い切れません。
間接関与者の定義については以下の記事を参考にしていただければと思います。
3.1.2 航空法に関する各論 (2) 「第三者上空」について 「第三者上空」について 「第三者上空」とは、(1)の「第三者」の上空をいい、当該第三者が乗り込んでいる移動中の車両等(自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン等をいう。以下同じ。)の上空を含むものとする。この場合の「上空」とは、「第三者」の直上だけでなく、飛行させる無人航空機の落下距離(飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離)を踏まえ、当該無人航空機が落下する可能性のある領域に第三者が存在する場合は、当該無人航空機は当該第三者の上空にあるものとみなす。
また、無人航空機の飛行が終了するまでの間、無人航空機の飛行に関与しない者((1)の「第 三者」)の態様(状況)及び飛行の形態が以下のいずれかに該当する場合は、無人航空機が第三者上空にあるとはみなさないこととなる。 ①「第三者」が遮蔽物に覆われており、当該遮蔽物に無人航空機が衝突した際に当該第三者が保 護される状況にある場合(当該第三者が屋内又は車両等(移動中のものを除く。)の内部にある場合等。) ②「第三者」が、移動中の車両等(無人航空機が当該車両等に衝突した際に当該第三者が保護さ れる状況にある場合に限る。)の中にある場合であって、無人航空機が必要な要件を満たした上で レベル 3.5 飛行に規定される飛行として一時的に当該移動中の車両等の上空を飛行するとき。
ただし、「第三者」が遮蔽物に覆われず、無人航空機の衝突から保護されていない状況になった 場合には、無人航空機が「第三者上空」にあるとみなされる点に留意する必要がある。
第三者上空の定義がごそっと追記されました。
本記述を理解するためには、以下のポイントで考えましょう。
第三者は直接関与者、間接関与者以外の者 第三者が乗っている「移動中」の車両の上空も第三者上空 第三者上空の判断には、第三者の真上だけではなく落下分散距離も考慮する 第三者が屋内又は停止車両の内部にいる場合は第三者上空とはならない 移動中の車両であってもレベル3.5として一時的に車両上空を飛行する場合は第三者上空とはならない(バイクやオープンカー等は除く) 第三者の定義、上空の定義は以下の記事にまとめております。
3.1.2 航空法に関する各論 c. レベル 3.5 飛行
レベル3.5 飛行 2023 年12 月に、デジタル技術の活用(機上カメラ)、無人航空機操縦者技能証明の保有及び保険 への加入を条件として、レベル 3 飛行で従来求められていた立入管理措置のうち、補助者の配置や看板の設置等を機上カメラによる確認に代替し、移動中の車両等の上空の一時的な横断を伴う飛行が可能となる「レベル 3.5 飛行」が新設された。
以下、レベル 3.5 飛行の概要を述べる。
(1) レベル 3.5 飛行の位置づけ レベル 3.5 飛行は、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地等の人口密度が低い地域といった第三 者が存在する可能性が低い場所(※夜間含む)で行うものであり、飛行経路下に歩行者等がいない無人地帯であることをデジタル技術の活用(機上カメラ)によって確認することで立入管理措置を代替し、経路を特定したうえで行う飛行であることからら、カテゴリーⅡ飛行(レベル 3 飛行)に該当する。
カテゴリーⅡ飛行(レベル3) カテゴリーⅢ飛行(レベル4) カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5) 補助者や周知看板を配置する等の立 入管理措置を講じ、飛行経路下が無人地帯であることを確認し飛行する。 機体に搭載したカメラによって、飛行経路下に歩行者等がいない無人地帯であることを確認し飛行する。 飛行経路下において、立入管理措置を 講じず、有人地帯で飛行する。
そのため、レベル 3.5 飛行は以下の点について注意する必要がある。
一定の要件を満たすことにより、一時的な道路等の横断に限って移動中の車両等の上空を飛行することを可能とするものであり、カテゴリーⅢ(レベル4)飛行と同様に歩行者等の第三者の上空の飛行を認めるものではない。 一定の要件を満たすことにより、従来求められていた立入管理措置のうち補助者の配置や看板 の設置等を機上カメラでの確認に代替するものであり、立入管理措置そのものが不要となるわけではない。 (2)レベル 3.5 飛行の実施に求められる安全確保体制等
レベル 3.5 飛行の実施に当たっては、特に下記 3 つの要件への適合が必要である。
機上カメラと地上に設置するモニター等の設備により、進行方向の飛行経路の直下及びその周辺に第三者の立入りが無いことを確認できることを事前に確認していること 操縦者が無人航空機操縦者技能証明(飛行させる無人航空機の種類、重量に対応したものであって、目視内飛行の限定解除を受けたもの)を保有していること 移動中の車両等との接触や交通障害等の不測の事態に備え、十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していること また、レベル 3.5 飛行の実施に際し、レベル3飛行に必要な要件へ適合していることを示す以下の資料の作成が必要である。また、飛行の安全を確保するための運航条件等を事前に定める必要がある。
飛行に際し想定されるリスクを十分に考慮の上、安全な飛行が可能となる運航条件等を設定した資料 無人航空機の機能・性能及び飛行形態に応じた追加基準に関する基準適合状況を示せる資料 操縦者にかかる飛行形態に応じた追加基準への適合性について、過去の飛行実績又は訓練実績等を記載した資料 飛行範囲及びその外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画として地図上に示した資料 想定される運用により、十分な飛行実績(機体の初期故障期間を超えたもの)を有することを示せる資料 なお、上記資料は基本的に申請時の提出は不要であるが、別途、国土交通省航空局から求めがあった場合には提出が必要となる。
レベル3.5の記述がごっそり追加されました。
ポイントは以下のとおりです。
レベル 3.5 飛行の位置づけ レベル3.5は、カメラでの立入管理措置×移動車両上空の一次的な飛行 あくまでもカテゴリーⅡ(レベル3)の範疇であり、立入管理措置が不要なわけではないこと カテゴリーⅢ(レベル4)ではないため、歩行者等の第三者の上空の飛行はできないこと レベル 3.5 の最低条件 地上モニターから、進行方向の飛行経路(落下想定距離を含む)に第三者の立入りが無いことを確認できることを事前に確認していること→画素数、遅延、物陰等を考慮して確認すること 技能証明(目視内限定解除)を受けていること(25kg以上の場合は25kgの限定解除も) 第三者賠償責任保険に加入していること 上記以外にもレベル3.5の条件はあります。
詳しく知りたい方は後述の記事を参考にください。
レベル 3.5 の必要資料運航条件設定書 機体の追加基準を満たしていることを示す資料 操縦者の追加基準を満たしていることを示す資料(過去の飛行実績又は訓練実績等を記載した資料) 飛行範囲と落下想定距離を立入管理区画として地図上に示した資料 想定される運用により、十分な飛行実績(機体の初期故障期間を超えたもの)を有することを示せる資料 上記資料は申請時の提出は不要と記載がありますが、審査現場ではほぼ提出を求められます。
詳しくは以下の記事を参考にいただけますと幸いです。
3.1.2 航空法に関する各論 (5) 行政処分等 行政処分等
技能証明を有する者が、「無人航空機操縦者技能証明に係る行政処分に関する基準」に定める処分 事由に該当する行為を行った場合、処分事由に応じて技能証明の効力の取消や停止等の行政処分又は行政指導が行われる。
同基準では点数制を採用しており、技能証明に係る行政処分及び行政指導の内容は、「点数表」に掲げる処分事由に対応する点数を基本として、個別事情や過去に処分を受けているかの有無を勘案して点数の加重又は軽減を行い、当該処分事由についての点数を決定したうえで、「処分等区分表」によって決定される。
「点数表」、「処分等区分表」、「個別事情による加減表」、「過去に処分等を受けている場合の取扱表」を以下に示す。
※青字はリーガライト行政書士法人が追記
第4版の鬼門といってもいいでしょう。
行政処分の基準の設定により、学科試験の難易度が一気に上がると思われます。
ポイントは以下のとおりです。
行政指導は「口頭注意、文書警告」、行政処分は「効力停止、取消」 処分は、点数表(別表1)がベースとなり、加減表(別表3)を勘案し、処分等区分表(別表2)に従って決定される 第三者の死亡、重傷または複数の第三者の負傷があった場合は、違反点数に関わらず効力停止、取消となる可能性がある 複数の処分事由について併せて処分が下される場合は、各点数(別表1)を合計したうえで、加減表(別表3)を勘案して点数が決定される。 過去に処分を受けている場合は、今回相当分の点数に、「過去に処分等を受けている場合の取扱表(別紙4)」の点数を足して、最終的な点数が決定される 最後に処分を受けた日が今回の処分事由となる行為が行われた日から5年より前である場合は、別紙4による加点は行われない 点数を丸暗記するべきかどうかは、試験内容の改訂後、ドロビーにてお伝えします。
Droby(ドロビー)ならハイレベル×低コストでeラーニング 登録講習機関eラーニングシステム「Droby(ドロビー)」では、国交省告示の要件を満たした講習動画と教材を提供しております。
ドローン登録講習機関 eラーニングシステム「Droby」
3.2.2 電波法(1) 制度概要及び無人航空機に用いられる無線設備 ドローンの活用分野の拡大を受けて、携帯電話をドローンに搭載したいとのニーズが高まっており、携帯電話を上空で利用する際の技術的条件の拡大が求められていました。
これを踏まえた改正が行われており、今回は、2023年までの無線局免許手続規則、波法関係審査基準などの改正内容が、教則にも反映されたものと思われます。
追記された部分は、携帯電話(ドローンにSIMカードを挿入することを含む)の上空利用に関することです。
今後、キャリアの通信が届かない地域でもドローン運用を実現するため、ローカル5Gも上空利用ができるよう検討が進められています。
※ローカル5G:キャリアだけでなく、企業や自治体などが独自に免許を取得して構築できる「自営用の5Gネットワーク」
3.2.2 電波法 (4) 携帯電話 携帯電話等の移動通信システムは、地上での利用を前提に設計されていることから、上空で利用した場合、通信品質の安定性や地上の携帯電話等の利用への影響が懸念される。こうした状況を踏まえ、実用化試験局の免許を受ける、又は、高度150m未満において 一定の条件下で利用することで、既設の無線局の運用等に支障を与えずに上空でないことを条件に、携帯電話等を無人航空機に搭載して 利用できるよう、制度整備がなされし ている。
携帯電話を無人航空機に搭載して利用する場合(無人航空機にSIM カードを挿入して利用する場合を含む)には、携帯電話事業者が提供する条件に対応した上空用プラン等の利用手続を行うことが必要である。 詳細は総務省電波利用ホームページを確認すること。
高度150m以上であっても手続きをすることで利用できるようになっているため「実用化試験局の免許を受ける、又は、高度150m未満において」という部分が削除されたものと思われます。
※実用化試験局の免許の制度もまだあります。
中段の部分は、すでに手続きをすれば携帯電話を搭載して飛行させることができるような制度になっているため、「利用できるよう制度を整備している」ではまだ利用できないと誤解される可能性があるため変更になったと思われます。
一定の技術的条件に合致する場合は、携帯電話事業者に上空用のプラン等の利用の手続を行うことで、携帯電話(ドローンにSIMカードを挿入することを含む)を無人航空機等に搭載して上空で利用することが可能です。
普段地上で利用している携帯電話端末やそのSIMカードは、地上での利用を前提とした制御が行われており、そのままでは上空では利用できないことに注意しましょう。
4.4.1 フライトコントロールシステム フライトコントロールシステムは、搭載されている各種センサ(GPS GNSS 、ジャイロ、加速度、方位、高度等)からの情報や <後略>
GPS (Global Positioning System) は、アメリカが運用している衛星測位システムの名称です。
一方、GNSS (Global Navigation Satellite System) は、GPSを含め、ロシアのGLONASSや欧州のGalileo、中国のBeiDouなど、世界各国の衛星測位システムを総称した言葉です。
より正確な記述のため、GPS→GNSSに変わったものと思われます。
4.4.2 無人航空機の主たる構成要素 (1) バッテリー バッテリーに関係する用語、単位、求め方及びその概要は以下のとおりである。
用語 単位 求め方 概要 電圧 V セル当たりの電圧(V)×セル数 ※電圧降下は抵抗(Ω)×電流(A)抵抗(R)×電流(A) ・電圧は、セル当たりの電圧(リチウムポリマーバッテリーなら 3.7V)とセル数で決まる。 また、電池残量(現時点で放電できる電気量)が減ると電池の電圧は下がる。 ・放電(飛行)中の電圧降下は、電気回路の配線抵抗と バッテリーの内部抵抗によって決まる。 出力 W 放電時電圧(V)×電流(A) ・単位時間当たりのエネルギー量を表す。 ・出力を一定に維持しようとする 場合、電池残量が少なくなると、放電時電圧が低下するため、必要となる 電流は増大する。
電圧 【抵抗(R)×電流(A)が削除された理由】
電圧(V)=抵抗(R)×電流(A)という式は間違いというわけではありません。
電圧は抵抗×電流で求めることができるというのは学校で勉強したと思います。
ただ、これはドローンの教則なので、文脈的に、読者は「バッテリーそのものの電圧」のことを想定して読むと思われます。
もしその読み方をするならば、「バッテリーそのものの電圧」は、電極に何を使っているかや電解質に何を使っているかなどの化学的特性で決まる ので、抵抗や電流は関係ありません。
従来の記載では、「バッテリーそのものの電圧」が抵抗と電流により決まると誤解される可能性があったため修正されたものと思われます。
一方、バッテリーには内部抵抗と若干の配線抵抗が存在するため、そこを電流が流れると抵抗成分による「電圧降下(電圧のロス)」が発生します。
このときの電圧降下はオームの法則に従い、「抵抗(Ω)×電流(A)」で計算できます。
①バッテリーそのものの電圧(電流や外部の抵抗は直接関係ない)を知りたいときは「セルの電圧×セル数」で求める。
②バッテリーの内部抵抗による電圧降下を強調するため、流れる電流と抵抗によって「どれくらい電圧が落ちるか(降下するか)」を知りたいときは抵抗(Ω)×電流(A)の考え方を使う
という2つの点を明確に区別するための修正が行われたと考えられます。
ちなみにリチウムポリマーバッテリーであれば、公称電圧は1セル当たり3.7V なので、それにセル数を掛けることでバッテリーそのものの電圧を求めることができます。
例:3セルのバッテリー → 3.7V×3=11.1V(公称電圧) 例:4セルのバッテリー → 3.7V×4=14.8V(公称電圧)
※リポバッテリーの公称電圧は 3.7Vですが、実際は最小 3.0V~最大 4.2V程度で変動します。 ※公称電圧とは一般的に運用する範囲での目安となる標準的な電圧値です。製品の仕様書やカタログでは公称電圧が記載されています。
【電気回路の配線抵抗が削除された理由】
電圧降下(V)=抵抗(Ω)×電流(A)であることを踏まえると、高電流では、電圧降下(V)が大きくなることがわかります。
ドローン向けリチウムポリマーバッテリーは高電流で運用されるため、バッテリー内部抵抗による電圧低下が非常に大きいです。
もちろん配線による抵抗は存在しますが、正しく設計された機体なら、比較的無視できるレベルであり、「配線抵抗」と「内部抵抗」を並列で記述すると、かえって「ではどっちがどのくらい?」と要点がぼやける可能性があるため、「電気回路の配線抵抗と」という文言が削除されたと思われます。
【バッテリー内部抵抗が電圧に影響を与える具体例】
以下のことを理解しやすくするために改訂が行われたと推測します。
・離陸して急上昇→ドローンのモーターやプロペラが高速回転すると流れる電流量が増大→ バッテリーの内部抵抗による電圧降下が顕著 → 実際の電圧がさらに下がる
・バッテリー低残量 → (同じ推力を維持しようとすると)必要電流が増大 → バッテリー内部抵抗の電圧降下が増える → 実際の電圧がさらに下がる
出力 「出力が一定の場合」が「出力を一定に維持しようとする場合」に変わりました。
ドローンの飛行において、システムや操縦者が同じ出力(パワー)を出そうとする状態をよりイメージしやすいように表現が変わったものと思われます。
4.4.3 送信機 (2) 送信機の 信号 〔一等〕 送信機の信号は、同じ周波数帯の電波 が同時かつ複数使用され密集し ているような場所では複数 の電波が干渉して混信による誤作動が起きる可能性がある。電波混信の予防として飛行させる前に測定器などで周辺の電波の状態を確認することが望ましい。無人航空機で使用される送信機からの電波だけでなく、無線LANやWi Fi、高圧送電線の影響を受ける場合もあるため 、 周辺環境の確認が必要である。
密集という言葉をより詳細に説明するため、「同じ周波数帯の電波が同時かつ複数使用され」という表現に変わったものと思われます。
4.4.3 送信機 (3) 送信機の操縦と機能 無人航空機は、送信機のスティックを操作して、機体の重心を中心とする3 軸の回転(ピッチ(機体の左右を軸とした回転機首を上下する回転 )、ロール(機体の前後を軸としたを左右に傾ける回転 )、ヨー(機体の上下を軸とした回転機首の左右への旋回 ))やローターの推力の増減といった機体の動きの制御を行う。
旧記述は「機首がどう動くか、機体がどう傾くか」という見かけの動きで説明し、新記述は「機体のどの軸を中心に回転しているか」という工学的な説明となっています。
航空工学などで一般的に言われる定義は以下のとおりです。
ピッチ:横軸周りの回転 ロール:縦軸周りの回転 ヨー:垂直軸周りの回転 内容としては同じですが、より一般的な考え方(回転軸がどこなのか)に変更したものを思われます。
飛行機の場合 (a) スロットル: プロペラの推力の増減(機体の前後移動 速度変化 ) (モード1)右側スティックの上下操作 (モード 2)左側スティックの上下操作
(b) エレベーター: ピッチ方向の操作 (機体の上昇・降下) (モード1)左側スティックの上下操作 (モード2)右側スティックの上下操作
(c) エルロン: ロール方向の操作(機体の左右旋回) (モード 1/モード2)右側スティックの左右操作
(d) ラダー: ヨー方向の操作(機体の左右旋回) (モード1/モード2)左側スティックの左右操作
各操作によって、見かけの動きがどうなるのかが、より詳細に明記されました。
Droby(ドロビー)ならハイレベル×低コストでeラーニング 登録講習機関eラーニングシステム「Droby(ドロビー)」では、国交省告示の要件を満たした講習動画と教材を提供しております。
ドローン登録講習機関 eラーニングシステム「Droby」
4.4.4 機体の動力源 1)リチウムポリマーバッテリーの特徴 リチウムポリマーバッテリーには、エネルギー密度が高い、電圧が高い、自己放電が少ない、メモリ効果(継ぎ足し充電などで浅い充放電を行った場合に見かけの放電容量が減少する現象充電容量が次第に減少する効果 )が小さい、電解質が可燃物である等の特徴がある。
従来の説明では「充電容量が減少する」とされていましたが、この言い方だとバッテリー自体の物理的な容量が小さくなっているように捉えることもできます。
しかし、メモリ効果とは、毎回電池を最後まで使い切らず少しだけ放電しては充電する、という使い方を繰り返すことで、バッテリーが自身の使える範囲を誤って記憶してしまい、充電を繰り返していた付近で電圧が一時的に低下してしまう現象です。
主に「乾電池型」の充電池でおきますが、リチウムポリマーバッテリー等ではほとんど起きません。
実際に容量が失われていくバッテリー劣化とは異なりますので、浅い充放電を繰り返す使い方をやめ、定期的にフル放電・フル充電をすることでメモリ効果を回復させる(あるいは発生を抑える)ことは可能です。
4.4.4 機体の動力源 2)リチウムポリマーバッテリーの取り扱い上の注意点 バッテリーのコネクタの端子 が短絡した場合、発火する可能性がある。
コネクタ端子だけでなく、バッテリー周りのあらゆる要因で短絡(ショート)が起きる可能性があるため、より広範な注意喚起を示すために変更されたと思われます。
具体的には、コネクタ端子の短絡に限らず、セル内部やケーブル部でも短絡する可能性はあります。
4.4.4 機体の動力源 (3) エンジン エンジンには 2 ストロークエンジン、4 ストロークエンジン、グローエンジン等 ガソリンエンジン、ディーゼル エンジン、ジェットエンジン、グローエンジンなど の種類がある。エンジンの種類により、潤滑方式、燃焼サイクル、点火 着火 温度等が異なる。燃料にも種類があり、それぞれのエンジンでメーカーが指定する燃料を適切に扱う必要がある。燃料にオイル等を混ぜた混合燃料を使用する場合は、適切な 指定された 混合比での使用が必要である。
2ストロークエンジンも4ストロークエンジンもガソリンエンジンの一種なので、細かい分類よりも「ガソリンエンジン」としてまとめた方が適切と判断され、改訂されたと思われます。
改訂後は、「ガソリンエンジン」「ディーゼルエンジン」「ジェットエンジン」「グローエンジン」のように、燃料や動作原理の違いによって分類されています。
大型・産業用ドローンではガソリンエンジンやディーゼルエンジンが使用されることがあり、
固定翼のドローンではジェットエンジンが利用されるケースがあります。
またグローエンジンは、小型の模型飛行機やラジコン用エンジンとしての利用が多いです。
ドローンの活用範囲が拡大し、機体も多様化したため、記述そのものを広範囲に適用できるよう見直したと思われます。
【着火温度】
2 ストロークエンジン、4 ストロークエンジン、グローエンジンはスパークプラグを利用による点火が想定されるため、点火温度という記載でしたが、
エンジンの種類によって点火方式も様々なため、圧縮着火などあらゆる燃焼プロセスを含む「着火温度」という用語に変更されたと考えられます。
【混合燃料】
混合燃料については、メーカーが機体ごとに明示的に指定している場合が多いため「指定された混合比」という文言にすることで、メーカー指示の順守を強調しているものと思われます。
5.1.2 運航時の点検及び確認事項 (4) ペイロードを搭載あるいは物件投下時における注意事項 投下場所に補助者を配置しない場合、物件投下を行う際の高度は原則 1m 以内である必要がある。
例外も多いため追記されたと思われます。
5.1.4 保険及びセキュリティ (1) 損害賠償能力の確保 無人航空機を飛行させる場合、飛行中における航空機や他の無人航空機との接触又は衝突、落下等による地上の人又は物件との接触または衝突により、第三者に損害を与えることが想定され、その場合には当該損害を賠償することが求められることがある。このことから、無人航空機を飛行させる場合には、万一の場合に備え賠償能力を確保しておくことが望まれるが、その対応としては、損害賠償責任保険に加入しておくことが有効と考えられる。このことから国土交通省においては、加入している保険の確認など無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を、許可・承認の審査の際に行っている。なお、カテゴリーⅢ飛行の場合には、飛行の内容に応じた保険に加入していることが推奨される。
カテゴリーⅢ飛行の許可承認において、審査要領上、保険の加入は必須ではないため、レベル3.5との混同を避けるため、削除されたと思われます。
5.2.1 離着陸時の操作 (4) カテゴリーⅢ飛行において追加で必要となる離着陸の注意点〔一等〕 カテゴリーⅢ飛行は立入管理措置を講ずることなく行うものであるため、その飛行形態に応じて第三者の立ち入りがあるものと認識した リスク評価において、離着陸に関して考慮する注意点の例としては以下のとおり。
・離着陸に際しては、第三者及び第三者の物件と 機体と人 が接触するなど第三者の安全が損なわれるおそれがないようにする。
・離着陸時ローターから発せられる風の影響を受け、物などが飛ばされ、第三者及び第三者の物 件に危害を加えることが ないようにする。
・第三者の物件等が多いエリアでの離着陸が考えられることから、家屋の 壁面などの構造物の近接による機体のタウンウォッシュの跳ね返り等 により、離着陸時に機体が不安定になることが考えられる ような環境はあらかじめ 離着陸エリアから除外する。
・第三者の物件等が多いエリアでは、 離着陸エリア上空周辺に電線などの障害物がない、又はこ れを 回避できる空域をあらかじめ選定する 。
カテゴリーⅢは第三者の上空飛行も可能であるため、第三者の立ち入りや物件の存在等を前提としたリスク評価を行う必要があることを強調するため追記されたと思われます。
ローターからの風のくだりについては、なぜ飛ばされないようにするのかを具体的にイメージしやすいように追記されたものと思われます。
ダウンウォッシュのくだりは、壁面や構造物の近くで飛行するとなぜ不安定になるのかをイメージしやすいように追記されたと思われます。
「あらかじめ」が追記されたのは、計画段階で考慮すべきということを強調するために変更されたと思われます。
5.2.2 手動操縦及び自動操縦 2)手動操縦の特徴とメリット 複雑な構造物の点検作業や耕作地の農薬散布、映画のような芸術性を要求される空撮などでは手動操縦による制御が求められる で行われることもある 。
様々なケースが考えられるため言い切らない表現に変わったものと思われます。
5.4.1 CRM (Crew Resource Management) 事故等の防止のためには、操縦技量(テクニカルスキル)の向上は有効な対策だが、これだけでは人間の特性や能力の限界」(ヒューマンファクター)の観点からヒューマンエラーを完全になくすことはできない。これに対処するためには、全ての利用可能な人的リソース、ハードウェア及び情報を活用した「CRM(Crew Resource Management)」という概念が有効マネジメント手法が効果的 である。
CRMの効果を最大限発揮を実現 するために「TEM(Threat and Error Management)」という手法が取り入れられている。ここで「スレット(Threat)」は「エラー(Error)」を誘発する要因であり、操縦者だけではスレットやエラーの発生状況を把握することが困難な場合があり、この場合適切な対処がとれず、 無人航空機が安全マージンの低下した UAS(Undesired Aircraft State:望ましくない航空機の状態)に至り、更に 事故等につながるおそれがある。このため TEM とは、このような状態に陥らないために、 補助者や関係者との相互監視 ・確認、機体や送信機の警報、飛行空域周辺状況に関する最新情報の入手など、全ての利用可能なリソースを活用し、エラーにつながりかねないスレット(気象の変化、疲労、機材不具合など)の発生状況を早期に把握・管理し、万一エラーや UAS に至ったとしてもが発生しても 事故等に至らないように適切に対処しようとする手法である。
CRM を効果的に機能させる TEM を効果的に実践する ための能力は、状況認識、意思決定、ワークロード管理、チームワークの体制構築 、コミュニケーションといった5つの CRM スキル (ノンテクニカルスキル)である。
CRMとTEMの関係性が詳細に記載されました。
具体的な事例を踏まえた解説はドロビーにて行っております。
Droby(ドロビー)ならハイレベル×低コストでeラーニング 登録講習機関eラーニングシステム「Droby(ドロビー)」では、国交省告示の要件を満たした講習動画と教材を提供しております。
ドローン登録講習機関 eラーニングシステム「Droby」
6.1.6 カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価〔一等〕 第三者上空を飛行するカテゴリーⅢ飛行は、万一墜落等の事故が生じた場合には、人の生命及び身体に甚大な被害をもたらすリスクの高い飛行となることから、厳格に より一層の 安全を確保する必要がある に配慮すべきである 。このため、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることに加え、あらかじめ、その運航の管理が適切に行われることについて国による飛行の許可・承認を受けることが必要となる。
強い義務づけから「配慮すべき」という運用主体の判断を尊重する表現に変わりました。
カテゴリーⅢはリスクが高い飛行であることは変わりませんが、実務的には多様な状況に応じた安全策を取りやすいようにしているのではないかと推測されます。
6.3.1 飛行機 2)飛行 旋回させる場合は、取扱説明書等で指定された最大バンク角以内旋回半径以内 で飛行させる。
「指定された旋回半径以内に収める」と言われても、旋回半径を飛行中に即時で測定することは難しいため、より操縦者が分かりやすいバンク角という表記に変わったものと思われます。
6.4.2 目視外飛行 2)補助者を配置しない場合 飛行経路には、第三者が存在する可能性が低い場所を設定する。第三者が存在する可能性が低い場所は、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場 又はこれらに類するものとする。
ゴルフ場にはクラブハウス等があり、第三者が存在する可能性が低いとは一概に言えないため削除されたと思われます。
【動画解説】教則(第4版)徹底解説 Droby(ドロビー)ならハイレベル×低コストでeラーニング 登録講習機関eラーニングシステム「Droby(ドロビー)」では、国交省告示の要件を満たした講習動画と教材を提供しております。
ドローン登録講習機関 eラーニングシステム「Droby」
許可を取得しても注意が必要! ドローンの許可承認を取得した後も、立入管理措置、飛行マニュアルによる制限、小型無人機等飛行禁止法、条例、民法など意外と多くの注意事項が存在します。
このような事項を知らなかったことにより「法令違反をしてしまう可能性」もありますが、逆に全貌がわからず「飛行を躊躇してしまう」方も多いかと思います。
そのようなことがないよう当社では、何ができて、何ができないのかをしっかり伝え、法律の範囲内で最大限ドローンを活用できるよう申請代行を行なっています。
また許可取得後の不明点も解決できるように、包括申請をご依頼いただきましたお客様には無償付帯行政書士顧問サービスが付いてきます!
リーガライト行政書士法人に包括申請を依頼するメリット
お客様のDIPSアカウントから申請いたしますので、1年目はしっかりとした知識・申請で許可を取得し、2年目以降はご自分で更新される方もいらっしゃいます!
ドローンの規制(改正航空法)が始まった2015年当初からドローン申請業務を行っている行政書士が、ドローン法令の遷移を生で感じていたからこそわかる、リアルで正確性な情報を発信いたします。 ドローン許可取得実績は13,000件、相談実績は16,000件、また60校を超えるドローンスクールの顧問をしています。
SNS「@ドローン法律ラボ」始めました !ドローンに関する法律をいち早くお届けするため、各種SNSを始めました!
フォローしていただけると、ドローン法律に関する最新情報が手に入ります!
ドローン法務ラボ_マスター|航空法の考え方やDIPSの操作方法など、長尺の解説動画をメイン発信中!
ドローン法務ラボ|航空局の動向、改正情報、ドローンニュースなどをテキストベースで発信中!発信内容はFacebookと同様です。
ドローン法務ラボ|航空局の動向、改正情報、ドローンニュースなどをテキストベースで発信中!発信内容はX(旧Twitter)と同様です。
ドローン法務ラボ_ライト|これからドローンを始めたい方やドローンに少しだけ興味がある方向けの動画をメインに発信中!
ご相談・お見積もり無料!