中小企業経営強化税制の創設
従来から似たような制度(中小企業投資促進税制の上乗せ措置)がありましたが、平成29年の税制改正に伴い、こちらに改組・新設されました。以下大きな変更点をまとめました。興味のない方は読み飛ばしていただいて構いません。
従来(中小企業投資促進税制の上乗せ措置) | 改正(中小企業経営強化税制) | |
---|---|---|
A類型(生産性向上設備) | ・最新モデルであること ・工業会証明書(固定資産税の特例措置を受ける場合の証明書とは別) ・その他 |
・経営力向上計画が認定されること ・工業会証明書(固定資産税の特例措置を受ける場合の証明書と同じ) ・その他 |
B類型(収益力強化設備) | ・その他 | ・経営力向上計画が認定されること ・その他 |
簡単に説明すると、投資しようとする設備について、工業会の証明を受けている場合は「A類型」、受けていない場合は「B類型」。どちらも同じ税制措置を受けられますが、「B類型」は経済産業局の確認等が必要になるため、手続きが煩雑です。
いくらお得になるの?(即時償却か税額控除か)
気になるところはいくらお得になるのか?です。即時償却を選択するか、税額控除を選択するか、で結果が変わるので注意が必要です。
選択肢① 即時償却
即時償却とは設備投資に係る費用を全額経費として計上することができる制度です。(通常は分割して経費に計上します)これにより、その年の利益を少なくし、法人税の節税をすることができます。但し、分割すべきものを一括で計上したに過ぎず、翌年からは、経費計上できないため、長い目で見たトータルの節税額は0円です。
・その年の税金支払額を少なくし、設備投資等をすみやかに行いたい
・利益800万円超部分の法人税は高くなるため、それを押さえたい(この場合でも税額控除がお得な場合あり)
選択肢② 税額控除
税額控除とは支払うべき税金から直接控除できる制度です。この場合は「法人税」から「取得価格×7%」を差し引くことができます。
ちなみに資本金が3千万円以下もしくは個人事業主の場合は「取得価格×10%」を差し引くことができます。
控除限度はその年度の法人税額の20%ですが、一年間に限り繰越が可能です。
取得価格 | 控除額(7%) |
---|---|
200万円 | 14万円 |
500万円 | 35万円 |
1000万円 | 70万円 |
金額だけでみれば税額控除がお得
以上のように即時償却の節税額は「トータルで0円」、税額控除の節税額は「取得価格×7%」です。
即時償却にもメリットはありますが、金額だけでみれば税額控除の方がお得です。
対象事業者
・資本金又は出資総額が1億円以下の「会社及び資本・出資を有する法人」
・従業員数1,000人以下の「資本・出資を有しない者」(個人事業主等)
※資本金が3,000万円以下・個人事業主の場合は税額控除10%の利用が可能になります。
対象設備
A類型 | B類型 |
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機械・装置(160万円以上/10年以内) 測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内) 器具・備品(30万円以上/6年以内) 建物附属設備(60万円以上/14年以内) ソフトウェア(70万円以上/5年以内)(情報を収集・分析・指示する機能) |
機械・装置(160万円以上) 工具具(30万円以上) 器具備品(30万円以上) 建物附属設備(60万円以上) ソフトウェア(70万円以上) |
対象事業
中小企業投資促進税制の対象事業 及び 商業・サービス業・農林水産業活性化税制の対象事業
中小企業投資促進税制の対象事業
商業・サービス業・農林水産業活性化税制の対象事業
まとめ
経営力向上計画を作成して認定されると「固定資産税の特例措置」と「中小企業経営強化税制の優遇措置」が受けられる場合があります。
設備投資をする際、ぜひこの制度を利用しましょう!!