【安全飛行規程の解説】技能証明と機体認証で飛行するメリットと手順

行政書士 中島北斗

この記事では、技能証明と機体認証で飛行する場合のメリットや注意点等を解説します。「飛行マニュアルに縛られない飛行ができる」「レベル3、レベル3.5が承認なしでできる」などをあまり知られていない情報を根拠と併せて知ることができます!!

技能証明と機体認証があればカテゴリーⅡ飛行は許可承認なしで飛行可能

技能証明と機体認証を有していれば、カテゴリーⅡ飛行は許可承認なしで飛行させることができます。

カテゴリーⅡB飛行とは、立入管理措置を行い、25kg未満の機体を飛ばす場合であって、「人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、30m接近飛行」に該当する飛行です。

技能証明と機体認証でカテゴリーⅡB飛行をするメリット

カテゴリーⅡBは「①技能証明+機体認証で飛行」「②許可承認を受けて飛行」のいずれかで飛行させることとなります。※係留飛行、特例飛行でも可能。

このうち、①で飛行させる場合のメリットについて詳しく見ていきましょう。

  • 許可承認が不要なためすぐに飛行できる
  • 標準マニュアルに縛られない
  • レベル3、レベル3.5飛行が許可承認なしでできる

<参考>技能証明とは

技能証明とは、言い換えますとドローンの国家ライセンスのことです。

学科試験、実地試験、身体検査合格を条件に国交省から交付されます。

このうち、国の登録を受けたドローンスクールを卒業した場合は、実地試験が免除されます。

<参考>機体認証とは

おおざっぱに言いますと、機体認証とはドローンの車検のようなものです。

ただし車検のように絶対になければ飛ばせないというわけではありません。

機体認証は飛ばすユーザーが必要に応じて国交省に申請を行うもので、国交省が安全基準に適合していると判断した場合に、機体認証書が交付されます。

機体認証のためには、設計書・部品表・整備手順書・重心位置の算出資料などを用意する必要があるため、ユーザーが用意することは困難です。

そのため、事実上、型式認証を受けた機体を使用することで、これらの資料提出を省略し、機体認証をしてもらうことが一般的です。

そして型式認証はドローンのメーカーが行います。

①許可承認が不要なためすぐに飛行できる

二等以上の技能証明と第二種機体認証以上を有した25kg未満の機体で、立入管理措置を行うときは、「人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、30m接近飛行」を国交省の許可承認なしで行うことができます。

カテゴリーⅡAやカテゴリーⅢは技能証明と機体認証を有していても許可承認申請が必要になりますので注意が必要です。

②標準マニュアルに縛られない

飛行マニュアルは許可承認を受けるための条件となっております。

そのため、技能証明と機体認証で許可承認を受けずに飛行させる場合は航空局標準マニュアルによる制限はないという形となります。

つまり人口集中地区での夜間飛行や夜間飛行での目視外飛行も、メーカーが認める限り、行うことができます。 ※夜間の目視外飛行はメーカーが認めていないケースがあります。

ただし、後述する「安全飛行規程」の作成と遵守は必要となりますので、注意しましょう。

③レベル3、レベル3.5飛行が許可承認なしでできる

レベル3、レベル3.5とは、簡単に言いますと、補助者を配置しない飛行方法です。

看板周知や機体カメラで立入管理措置を行う形となります。

これらについても、航空局の解釈通達などで、機体認証と技能証明があれば承認なしで行うことができる旨が記載されています。

レベル3、レベル3.5について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にいただけますと幸いです。

技能証明+機体認証でカテゴリーⅡB飛行をさせるためには「安全飛行規程」が必要

先ほど、技能証明+機体認証でカテゴリーⅡB飛行をさせるメリットのひとつとして「②標準マニュアルに縛られない」と記載させていただきました。

ただ技能証明を取得した方は「ハテナ」になるかもしれません。

それは、国交省ホームページに「技能証明を受けた者が機体認証を受けた機体を飛行させる場合、飛行マニュアルの作成等を行うことで、許可承認が不要となる」と記載があるからです。

国交省航空局ホームページ(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html)より

ただ実は、ここでいう飛行マニュアルは、許可承認時に使用する標準マニュアル等とは根拠条文が異なります。

カテゴリーⅡB飛行を技能証明と機体認証で行う場合については、航空法第132条の85の第3項、第132条の86の第4項に記載があり、そこには以下のように記されています。

<航空法第132条の85の第3項、第132条の86の第4項の要約>

技能証明+機体認証でカテゴリーⅡB飛行をする場合は、

①立入管理措置を講じた上で、

②「航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を確保するために必要なものとして国土交通省令で定める措置」

が必要と定められている。

そして、ここでいう国土交通省令で定める措置とは航空法施行規則第236条の75に記載があります。

航空法施行規則第236条の75第1項の要約>

(安全を確保するために必要な措置)

上の②の国土交通省令で定める措置は、無人航空機を安全に飛行させるために必要な事項を記載した規程の作成及び当該規程の遵守とする。

弊社ではこれを「安全飛行規程」と呼んでいます。

つまり、カテゴリーⅡB飛行を技能証明と機体認証で行う場合、この安全飛行規程の作成と遵守が必要となります。

安全飛行規程の記載事項

それでは安全飛行規程にはどんなことを書いたらいいか、気になると思います。

詳細が航空法施行規則第236条の75第2項に記載されています。

航空法施行規則第236条の75第2項の要約>

安全飛行規程には、次に掲げる事項を記載したものとする。

  1. 使用する無人航空機の定期的な点検及び整備に関する事項
  2. 無人航空機を飛行させる者の技能の維持に関する事項
  3. 当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることの確認に関する事項
  4. 無人航空機を飛行させる者及び補助者の役割分担その他無人航空機の飛行に係る安全管理体制に関する事項
  5. 無人航空機の事故等が発生した場合における連絡体制の整備その他必要な措置に関する事項
  6. その他飛行の特性に応じた措置に関する事項

実はこれら1~6は、航空局の標準マニュアルが網羅しています。

そのため、少なくても、標準マニュアルは、安全飛行規程として使用可能と言えます。

安全飛行規程は審査されるわけではない

ただ、安全飛行規程は許可承認時の飛行マニュアルとは根拠条文が異なるため、その内容が審査されるわけではありません。

それは、技能証明を有している操縦者は、飛行実態に合わせて安全飛行規程を自分で作成できる能力があると整理されているからです。

つまり法律的には、先ほどの1~6を満たした上で、操縦者自身の責任で安全飛行規程を作成し、遵守することとなります。

だからこそ、操縦者の実態に合わせた安全対策を講じることで、飛行十マニュアルでは対応が難しい飛行にも柔軟に対応することができます。

安全飛行規程の注意点

安全飛行規程は上記のとおり航空局の審査がないため、操縦者の責任が重くなります。

標準マニュアルに縛られない柔軟な飛行ができる一方、その責任は重くなることを肝に命じておきましょう。

個人的な意見を申し上げますと、安全飛行規程の作成ガイドラインなどが公表されていない現状では、

航空局標準マニュアルや過去に許可承認を受けた際の独自マニュアルを、許可承認は受けずとも、それらを使い分けて使用することをおすすめしております。

それは、万が一、自身で作成した安全飛行規程で事故が起きてしまった場合、安全体制の適切性について、過去の航空局の許可承認事例を基に比較される可能性が高いからです。

だからこそ、以下のような知識と経験が重要となります。

  • 航空局の標準マニュアルの読み込み
  • 独自マニュアルで認められる範囲と安全対策の記載例
  • レベル3、レベル3.5飛行のときの安全対策

【動画解説】技能証明+機体認証のメリット3選

技能証明と機体認証のメリットについて徹底解説!

0:00 ダイジェスト
1:33 カテゴリーⅡB飛行とは
1:52 カテゴリーⅡB飛行の飛ばし方
2:26 技能証明+機体認証のメリット
3:49 技能証明とは
4:07 機体認証とは
5:15 安全飛行規程とは
7:29 安全飛行規程は審査されない
8:31 レベル3・レベル3.5も承認不要
9:31 柔軟な飛行ができるが責任は重い

許可を取得しても注意が必要!

ドローンの許可承認を取得した後も、立入管理措置、飛行マニュアルによる制限、小型無人機等飛行禁止法、条例、民法など意外と多くの注意事項が存在します。

このような事項を知らなかったことにより「法令違反をしてしまう可能性」もありますが、逆に全貌がわからず「飛行を躊躇してしまう」方も多いかと思います。

そのようなことがないよう当社では、何ができて、何ができないのかをしっかり伝え、法律の範囲内で最大限ドローンを活用できるよう申請代行を行なっています。

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執筆者:
行政書士 中島北斗

ドローンの規制(改正航空法)が始まった2015年当初からドローン申請業務を行っている行政書士が、ドローン法令の遷移を生で感じていたからこそわかる、リアルで正確性な情報を発信いたします。
ドローン許可取得実績は13,000件、相談実績は16,000件、また60校を超えるドローンスクールの顧問をしています。

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