
行政書士 中島北斗
この記事では、ドローン許可の飛行条件である「補助者の配置」「補助者が不要なケース」「立入管理措置の具体例」について解説いたします。この記事を読めば、適法にドローンを飛行することができるようになります!
2022年11月10日、立入管理措置について新しい考え方が追記された審査要領と飛行マニュアルが公開されました。
それまでは「立入管理措置」=「補助者の配置」のみでしたが、立入管理措置を明示することで補助者の配置が不要となりました。
ドローンユーザーにとっては、嬉しい規制緩和の改正です。
結論、立入管理措置のフローチャートは以下のとおりです。
この記事では特に「飛行経路に設置した塀・フェンス・看板・コーンで確実に立入を制限できるか」に着目して解説します。

立入管理措置とは
立入管理措置とは、簡単にいうと「ドローンの飛行経路下に第三者が入らないようにする措置」です。
航空法において、特定飛行を行う場合は原則、この立入管理措置が必要となります。(レベル4飛行を除く)
詳しく迫るために、まずは立入管理措置の正確な定義から見てみましょう。
①飛行経路下の定義、②第三者の定義を確認したい方は以下の記事を参考にいただけますと幸いです。
そして、航空法では「国土交通省令で定めるものをいう」と記載されておりますので、国土交通省令である航空法施行規則には、以下のように詳細が記載されています。
※航空法施行規則のこの条文を法律的に読み解くと、「適切な措置」の一例として、①補助者の配置、②立入りを制限する区画の設定が挙げられています。その他にも適切な措置は考えられるということです。
その他の適切な措置は、後述のレベル3、レベル3.5の項目を参照ください。
これだけではわかりにくいため、さらに航空局の解釈通達では以下のように分解されております。
立入管理措置 | 解釈通達 |
---|---|
①補助者の配置 | 飛行経路下の監視及び口頭警告 |
②立入りを制限する区画の設定 | 関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による立入管理区画の明示 |
②立入管理区画を明示できれば、①補助者の配置は不要となります。
ここからは申請別に立入管理措置について詳しく確認していきましょう。
【包括申請】立入管理措置の具体例
国交省の許可承認を受けて特定飛行を行う場合、飛行マニュアルに遵守して飛行させる必要があります。
包括申請では原則、標準マニュアル02に従った飛行が許可条件となっており、それから大きく逸脱したマニュアルでは許可承認が下りません。
それでは標準マニュアル02の立入管理措置の具体例を見てみましょう。
以上より、標準マニュアル02を利用した場合の立入管理措置は「①補助者の配置」または「②区画を明示」となります。

包括申請における標準マニュアル02の立入管理措置の記述内容を変更する独自マニュアルは認められておりません。
基本的に、包括申請では、「①補助者の配置」で対応することが一般的です。
ただ「②区画の明示」で立入管理措置を行う場合、ポイントになるのは、「第三者の立入りを確実に制限できること」です。
確実に制限ができれば、立ち入ったかどうか判断する必要がないため補助者は不要というロジックです。
たとえば、関係者以外立ち入ることができない工場や塀で囲われた住宅などは、確実に制限可能といえるでしょう。
逆に、第三者の立ち入りが可能性として捨てきれず、立ち入った場合に飛行を中止するケースの場合は、立ち入ったかどうかの判断が必要なため、従来通り補助者が必要となることに注意しましょう。
区画の明示の具体例①
第三者の立入を確実に制限できると判断しやすい例は以下のとおりです。

※紹介事例は、リーガライト行政書士法人の経験に基づくものである点をご留意ください。
フェンスや塀、ロープで飛行経路外周全体が物理的に覆われており、確実に第三者の立入を制限できる場合は、②区画明示の立入管理措置ができているといえ、補助者の配置は不要となります。
区画の明示の具体例②
第三者の立入を確実に制限できるかどうか検討が必要な例は以下のとおりです。

※紹介事例は、リーガライト行政書士法人の経験に基づくものである点をご留意ください。
いずれも飛行経路に繋がるルートに立ち入りを制限する看板を設置した上で、看板には、飛行経路を明示します。
そして、それ以外の場所からの立ち入りは自然環境などにより制限されているような状況です。
これにより確実に第三者の立ち入りを制限できると言える場合は、②区画明示の立入管理措置ができているといえ、補助者の配置は不要となります。
これはロープやフェンスで飛行経路全体が覆われていなくても、補助者が不要になるケースがあるという事例となります。
包括申請のご依頼をいただいたお客様は、弊社に無料で法務相談が可能です!
実際の案件に合わせて、立入管理措置について回答もできますので、ぜひご活用ください!

区画の明示ができているとは言えない具体例①
第三者の立入を確実に制限できるとは言えない事例は以下のとおりです。

※紹介事例は、リーガライト行政書士法人の経験に基づくものである点をご留意ください。
これらは飛行経路への第三者の進入ルートが制限できていないケースです。
海や湖の飛行であっても、船舶は第三者になりますので、制限が必要となることに注意が必要です。
このようなケースでは、補助者を配置するか、レベル3、レベル3.5により看板周知または機体カメラによる立入管理措置を実施する必要があります。
【レベル3】立入管理措置の具体例
レベル3飛行は、上記「①補助者の配置」または「②区画を明示」以外の立入管理措置を取る飛行方法です。
飛行場所は「山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地等の第三者が存在する可能性が低い場所」に限定されます。
ただ包括申請の目視外飛行でも、②立入管理区画の明示を行えば補助者は不要となりますが、それはレベル3飛行に当たるでしょうか。
結論から申し上げますと、②立入管理区画の明示して「第三者の立ち入りを確実に制限できる補助者なしの目視外飛行」はレベル3飛行には該当しません。
一言でいうと、レベル3飛行とは「第三者の立ち入りが可能性として捨てきれない補助者なしの目視外飛行」となります。
正確に言いますと、インターネット、ポスターでの周知など、場所の性質に応じた立入管理措置をベースとして、道路や家屋など第三者の立ち入りが排除できない場所には追加の看板等を配置する飛行方法です。
2022年12月5日の飛行マニュアル改正前までは「フェンスで囲われた工場内での補助者なし目視外飛行(②区画の明示)」も「離島間での補助者なし目視外飛行(レベル3)」も一緒くたにされていましたが、現在はそれぞれ別の扱いとなっています。
【区画の明示による補助者なし】 第三者の立ち入りを確実に制限できる補助者なし目視外飛行 | 包括申請でも補助者なしで飛行可能 (例:フェンスありの工場内) |
【レベル3による補助者なし】 第三者の立ち入りが可能性として捨てきれない補助者なしの目視外飛行 | レベル3飛行に該当するため、飛行場所を特定した申請が必要 (例:離島間、河川上) |
以上を踏まえ、レベル3飛行で求められる立入管理措置の具体例は以下のとおりです。
【第三者が存在する可能性が低い場所が前提】
・立看板、インターネット、ポスター等による周知
・第三者が存在する可能性を排除できない場所(道路、家屋、鉄道等)には、追加の看板等を設置
※上記以外にも立入管理区画の性質に応じて航空局と調整。
包括申請で許可承認を取得しても、レベル3飛行は申請者の判断で行うことはできません。
機体要件、操縦者要件、安全対策について航空局から承認を得て飛行する必要があります。
一方、カテゴリーⅡB飛行を技能証明+機体認証で行う場合は、レベル3飛行も許可承認なしで行うことが可能です。
【レベル3.5】立入管理措置の具体例
2023年12月26日「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」の改正で「レベル3.5飛行」が認めらるようになりました。
実は、レベル3.5も「①補助者の配置」または「②区画を明示」以外の立入管理措置となりますので、レベル3の一種となります。
ドローンのレベル3.5飛行とは、「①補助者や看板を配置せずに機体カメラで人がいないことを確認しながら飛行する方法」かつ「②移動車両上空を一時的に横断する飛行」です。
もう少し詳しくいうと「第三者が立ち入る可能性が低い場所において、機体カメラで飛行経路下に第三者がいないことを確認することで、補助者や看板を配置せずに目視外飛行を行い、かつ移動車両(列車、船舶を含む)の上空を一時的に横断する飛行」です。
レベル3で求められていた看板等での周知や設置が不要になるため、広範囲を迅速に柔軟に飛行させることが可能となります。
②移動車両上空を一時的に横断する飛行を行わず、「①補助者や看板を配置せずに機体カメラで人がいないことを確認しながら飛行する方法」は正確にはレベル3.5には分類されません。
この方法は、従来のレベル3飛行の安全体制の見直しという位置づけになっています。
そのためこの方法では技能証明や保険加入などは必須ではありません。
ただし手続きの方法はレベル3.5と同じという、とても入り組んだ制度となっています。
上記を踏まえ、分かりやすいようにリーガライト行政書士法人では看板周知の立入管理措置を「旧レベル3」、移動車両上空なしのカメラでの立入管理措置を「新レベル3」と呼んでいます。
ただし、立入管理措置が不要というわけではありませんので、注意しましょう。
レベル3.5飛行で求められる立入管理措置の具体例は以下のとおりです。
【第三者が存在する可能性が低い場所が前提】
・機体カメラで飛行経路下に第三者がいないことを確認
※移動車両上空を一時的に横断することは可能
包括申請で許可を取得しても、レベル3.5飛行は申請者の判断で行うことはできません。
機体要件、操縦者要件、安全対策について航空局から承認を得て飛行する必要があります。
一方、カテゴリーⅡB飛行を技能証明+機体認証で行う場合は、レベル3.5飛行も許可承認なしで行うことが可能です。
レベル3.5申請は補助者なしで広範囲を柔軟に飛行させることができるため、使い勝手がいいですが、申請のハードルは高いです。
リーガライト行政書士法人では、豊富なレベル3.5の許可実績のもの、スムーズな調整が可能です!

【レベル4】立入管理措置の具体例
ここまで包括申請→レベル3→レベル3.5の立入管理措置の具体例を見てきました。
最後にレベル4の立入管理措置について考えてみましょう。
結論から申し上げると「レベル4飛行」は立入管理措置は不要です。
そのため、一等技能証明(国家ライセンス)+第一種機体認証+個別の許可承認申請が必要になっています。
【動画解説】ケース別”立入管理措置”をフローチャートで解説
立入管理措置の方法についてその根拠や具体例を交えて徹底解説しています。
0:00 ダイジェスト
0:35 立入管理措置の定義
2:13 包括申請の立入管理措置は2つ
6:06 区画明示による立入管理措置の具体事例
8:20 補助者の配置による立入管理措置
8:32 旧レベル3の立入管理措置
9:07 新レベル3、レベル3.5の立入管理措置
9:43 レベル4は立入管理措置が不要
10:10 制限的立入管理措置と監視的立入管理措置
11:29 立入管理措置の判断フローチャート
13:12 技能証明+機体認証は承認なしでレベル3/3.5ができる
まとめ
以上、ドローン飛行における立入管理措置について解説しました。
許可を取得しても注意が必要!
ドローンの許可承認を取得した後も、立入管理措置、飛行マニュアルによる制限、小型無人機等飛行禁止法、条例、民法など意外と多くの注意事項が存在します。
このような事項を知らなかったことにより「法令違反をしてしまう可能性」もありますが、逆に全貌がわからず「飛行を躊躇してしまう」方も多いかと思います。
そのようなことがないよう当社では、何ができて、何ができないのかをしっかり伝え、法律の範囲内で最大限ドローンを活用できるよう申請代行を行なっています。
また許可取得後の不明点も解決できるように、包括申請をご依頼いただきましたお客様には無償付帯行政書士顧問サービスが付いてきます!

お客様のDIPSアカウントから申請いたしますので、1年目はしっかりとした知識・申請で許可を取得し、2年目以降はご自分で更新される方もいらっしゃいます!
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執筆者:
行政書士 中島北斗
ドローンの規制(改正航空法)が始まった2015年当初からドローン申請業務を行っている行政書士が、ドローン法令の遷移を生で感じていたからこそわかる、リアルで正確性な情報を発信いたします。
ドローン許可取得実績は13,000件、相談実績は16,000件、また60校を超えるドローンスクールの顧問をしています。
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