
行政書士 中島北斗
この記事では、「飛行マニュアルの概要」「航空局標準マニュアル01と02の違い」「独自マニュアルとの違い」「独自マニュアルでも解除できない点」「記載事項」について解説しています。
ドローン飛行マニュアルとは
飛行マニュアルとは「安全な飛行のために遵守すべき事項」を取りまとめたものです。
言い換えると、飛行マニュアルはドローンを飛行させる際の安全確保体制を維持するためのルールブックです。
▼交付される許可承認書の条件の項目には「飛行マニュアルを遵守して飛行させること」と記載されます。

ドローンの規制が施行された当初は自分で「飛行マニュアル」を作成しなければいけなかったのですが、平成28年7月29日より国交省より「航空局標準マニュアル」が公開され、それを利用する場合は申請書の一部を省略することができるようになりました。
しかし、航空局標準マニュアルは、あくまでも標準的なマニュアルであるため、包括申請であっても飛行場所や飛行方法が制限されます。
航空局標準マニュアルを利用する場合は、自分の飛行形態に沿ったマニュアルかどうかを確認するため、しっかりと内容を読みましょう。
航空局標準マニュアルは7種類ある
航空局標準マニュアルは「経路の特定の有無」「飛行目的」により大きく7種類にわけられます。
その中でも、一番利用されているのが、航空局標準マニュアル02です。
インフラ点検用のマニュアルや空中散布用のマニュアルは、制度的に後から出来たものなので、全マニュアルのベースは「航空局標準マニュアル02」となっております。
標準マニュアル | 詳細 |
---|---|
航空局標準マニュアル01 | 「個別申請」で使用可能 |
航空局標準マニュアル02 | 「包括申請」で使用可能 |
航空局標準マニュアル01(インフラ点検) | 「個別申請」かつ「飛行目的がインフラ点検」で使用可能 ※令和3年3月30日に発表 |
航空局標準マニュアル02(インフラ点検) | 「包括申請」かつ「飛行目的がインフラ点検」で使用可能 ※令和3年3月30日に発表 |
航空局標準マニュアル(空中散布) | 「個別/包括申請」かつ「飛行目的が農薬散布等」で使用可能 ※令和元年7月30日に発表 |
航空局標準マニュアル(研究開発) | 「個別申請」かつ「飛行目的が研究開発」で使用可能 ※ここでいう研究開発とはドローンやプロポの開発であり、海洋調査やクルマの開発などでは使用不可。 ※令和2年9月10日に発表 |
機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行等 飛行マニュアル | 「レベル3.5」飛行時に使用可能。一般公開はされていない。 ※リーガライト行政書士法人が改正に関与 ※令和5年12月26日に発表 |
※リンクが開かない場合は、こちらの国交省HPをご覧ください。
ここからは利用頻度が高く、全マニュアルのベースとなっている航空局標準マニュアル02について解説をいたします。
航空局標準マニュアルを使用するメリット・デメリット
メリット:航空局がすでに作成したマニュアルを使用するため作成の手間が省ける。
デメリット:あくまでも標準的なマニュアルであるため、包括申請であっても飛行場所・飛行方法が制限される。また内容をよく把握せずに申請してしまった場合、思わぬ法令違反をしてしまう場合がある。
遵守すべき事項が記載されているので、航空局標準マニュアルを使用する場合は熟読しましょう。
独自マニュアルは、標準マニュアルでは飛ばせない場所・飛行方法を解除できる
上記標準マニュアルは、あくまでも基本的な飛行をベースに作成されたマニュアルであるため、ご自身のフライト内容によっては、使いにくい場合があります。
そこで、「独自マニュアル」の作成をおすすめします。
独自マニュアルとは
航空局標準マニュアルの各事項に別途安全対策を設けることで、一部記載を変更したものが「独自マニュアル」です。
様々な飛行を行う場合は、独自マニュアルを作成することをおすすめします。
▼独自マニュアルで許可申請を行うときは、DIPS2.0にて、飛行マニュアルの選択時に、「航空局標準マニュアルと同等の水準ですか」をいいえにして、詳細を記載し、独自マニュアルを添付します。

独自マニュアルを使用するメリット・デメリット
メリット:自分の飛行形態にあった内容で申請ができるため、上記航空局標準マニュアルでは制限されていた飛行場所・飛行方法でのフライトが可能となる。
デメリット:航空局標準マニュアルで制限されている飛行場所・飛行方法で飛行させる場合はそれぞれ安全対策計画が必要となり、かつ国交省の審査も厳しくなるため、労力が必要となる。
当社の独自マニュアルで飛行ができる場所・飛行方法
独自マニュアルでも、航空法、航空法施行規則、審査要領を逸脱する記載は行うことができません。例えば、「山間部などの第三者が存在している蓋然性が低い場所」では立入管理措置を行わない等の記載は、包括申請の独自マニュアルでは認められません。
その他にも遵守すべき事項がありますので、航空局標準マニュアルを使用する場合は熟読しましょう。
独自マニュアルを作成する場合は、本ページなどを参考にしていただけると幸いです。

航空局標準マニュアル01と02の違い
航空局標準マニュアル01は個別申請用のマニュアルです。
航空局標準マニュアル02は包括申請用のマニュアルです。
「航空局標準マニュアル01」の内容は「航空局標準マニュアル02」にほとんど含まれているため、ここからは利用頻度の高い02を中心にご説明いたします。
航空局標準マニュアル02の記載内容を解説
飛行マニュアルは3つの項目から構成されています。
- 無人航空機の点検・整備
- 無人航空機を飛行させる者の訓練
- 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
それぞれの項目に記載されている内容について、詳しくみていきましょう。
1. 無人航空機の点検・整備
ここには、どこを点検すべきか、いつ点検すべきかの記載があります。
1-1 機体の点検・整備の方法
「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に基づき、日常点検の項目を以下の通りとし、機体の点検・整備を実施する。
(1)飛行前の点検
飛行前には、以下の点について機体の点検を行う。
- 各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
- 発動機やモーターに異音はないか
- 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
- 燃料の搭載量又はバッテリーの充電量は十分か
- 通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか
【解説】
機体や操縦機が壊れていないかを確認します。
飛行日誌様式2「日常点検記録」で対応可能です。
(2)飛行後の点検
飛行後には、以下の点について機体の点検を行う。
- 機体にゴミ等の付着はないか
- 各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
- 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
- 各機器の異常な発熱はないか
【解説】
飛行後にも機体に異常がないか確認をしましょう。
飛行日誌様式2「日常点検記録」で対応可能です。
(3)20時間の飛行毎に、以下の事項について無人航空機の点検を実施する。
- 交換の必要な部品はあるか
- 各機器は確実に取り付けられているか(ネジの脱落やゆるみ等)
- 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
- 通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか
【解説】
累計の飛行時間20時間ごとに、機体や消耗品に問題がないか確認しましょう。
飛行日誌様式3「点検整備記録」で対応可能です。
1-2 点検・整備記録の作成
1-1(1)~(3)に定める飛行の前後及び20時間の飛行毎に無人航空機の点検・整備を行った際には、「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に従い、点検・整備記録を作成し管理する。
2. 無人航空機を飛行させる者の訓練及び遵守事項
2-1 基本的な操縦技量の習得
プロポの操作に慣れるため、以下の内容の操作が容易にできるようになるまで 10時間以上の操縦練習を実施する。なお、操縦練習の際には、十分な経験を有する者の監督の下に行うものとする。訓練場所は許可等が不要な場所又は訓練のために許可等を受けた場所で行う。
項目 | 内容 |
---|---|
離着陸 | 操縦者から3m離れた位置で、3mの高さまで離陸し、指定の範囲内に着陸すること。 この飛行を5回連続して安定して行うことができること。 |
ホバリング | 飛行させる者の目線の高さにおいて、一定時間の間、ホバリングにより指定された範囲内(半径1mの範囲内)にとどまることができること。 |
左右方向の移動 | 指定された離陸地点から、左右方向に20m離れた着陸地点に移動し、着陸することができること。 この飛行を5回連続して安定して行うことができること。 |
前後方向の移動 | 指定された離陸地点から、前後方向に20m離れた着陸地点に移動し、着陸することができること。 この飛行を5回連続して安定して行うことができること。 |
水平面内での飛行 | 一定の高さを維持したまま、指定された地点を順番に移動することができること。 この飛行を5回連続して安定して行うことができること。 |
2-2 業務を実施するために必要な操縦技量の習得
基礎的な操縦技量を習得した上で、以下の内容の操作が可能となるよう操縦練習を実施する。訓練場所は許可等が不要な場所又は訓練のために許可等を受けた場所で行う。
項目 | 内容 |
---|---|
対面飛行 | 対面飛行により、左右方向の移動、前後方向の移動、水平面内での飛行を円滑に実施できるようにすること。 |
飛行の組合 | 操縦者から10m離れた地点で、水平飛行と上昇・下降を組み合わせて飛行を5回連続して安定して行うことができること。 |
8の字飛行 | 8の字飛行を5回連続して安定して行うことができること。 |
【解説】
応用的な操縦技術、訓練方法についての記載があります。
こちらも「室内」や「許可承認が不要な場所」で行います。
2-3 操縦技量の維持
2-1,2-2で定めた操縦技量を維持するため、定期的に操縦練習を行う。訓練場所は許可等が不要な場所又は訓練のために許可等を受けた場所で行う。
2-4 夜間における操縦練習
夜間においても、2-2に掲げる操作が安定して行えるよう、訓練のために許可等を受けた場所又は屋内にて練習を行う。
2-5 目視外飛行における操縦練習
目視外飛行においても、2-2に掲げる操作が安定して行えるよう、訓練のために許可等を受けた場所又は屋内にて練習を行う。
2-6 物件投下のための操縦練習
物件投下の前後で安定した機体の姿勢制御が行えるよう、また、5回以上の物件投下の実績を積むため、訓練のために許可等を受けた場所又は屋内にて練習を行う。
2-7 飛行記録の作成
無人航空機を飛行させた際には、「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に従い、飛行記録を作成し管理する。
2-8 無人航空機を飛行させる者が遵守しなければならない事項
(1)第三者に対する危害を防止するため、第三者の上空で無人航空機を飛行させない。
たとえ許可承認を取得した場合であっても、第三者の上空を飛行させることはできません。
詳しく解説するために①第三者の定義、②上空の定義について見てみましょう。
①第三者の定義
①第三者とは、無人航空機の飛行に直接又は間接的に関与していない者を指します。
逆に言うと、次に掲げる者は無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与しており、第三者には該当しません。
関係者 | 定義 |
---|---|
直接関与者 | 操縦者、補助者など無人航空機の飛行の安全確保に必要な要員。 |
間接関与者 | 操縦者と共通の飛行目的を持っている者。 ただし、以下の条件を満たしている必要がある。 ① 飛行の安全上の従うべき明確な指示及び注意を受けていること。 ② 上記①を適切に理解(確認)していること。(言っただけではNG) ③ 飛行の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができること。(参加したくなければNOと言えること) |
間接関与者の具体例としては「映画・CMの撮影における俳優やスタッフ」「学校等での人文字の空撮における生徒(付近の住民等の見学者を除く)」が該当します。
つまり直接関与者、間接関与者以外の上空を飛行させることは、飛行マニュアル上、問題ありません。
それら以外の者(第三者)の上空は飛行させることはできません。
以下によくあるご質問をまとめておきます。
質問 | 国交省回答 |
---|---|
関係者扱いにするにはドローンの周知以外に氏名や住所等の特定は必要ですか。 | 解釈通達のとおり、関係者(間接関与者)氏名、住所等の特定まで求めておりません。 |
ビラ配りや地域放送といったアナウンスだけで関係者(間接関与者)扱いにできますか。 | 一般的に関係者(間接関与者)として整理することは難しいと考えております。 |
②上空の定義
そして、②上空について、整理してみましょう。
ここにおける「上空」とは、第三者の直上だけでなく、飛行させる無人航空機の落下分散範囲を含まれます。
落下分散範囲の計算方法は法定されておりませんが、リーガライト行政書士法人のeラーニングを導入しているドローンスクールで詳しく学ぶことができます。
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全国のドローンスクールにて、航空法、機体システム、リスク評価などの学習ができます!

第三者の上空を飛行させるためにはカテゴリーⅢ(レベル4)の飛行申請が必要
この記述は解除するということは航空法第132条の87「第三者が立ち入つた場合の措置」を無視することになるため、独自マニュアルでは対応できません。
第三者の上空を飛行させるためには、カテゴリーⅢによる個別申請を行います。
その条件は①第一種機体認証を受けた機体を使用すること、②一等技能証明証明を有した者が操縦すること、③国交省の個別の許可承認を受けることです。
事実上、かなりハードルが高い申請となります。
(2)飛行前に、気象、機体の状況及び飛行経路について、安全に飛行できる状態であること、飛行させる場所が緊急用務空域に指定されていないことを確認する。
この項目は前半と後半にわけることができます。
①飛行前に、気象、機体の状況及び飛行経路について、安全に飛行できる状態であること
航空法第182条の86の1項2号の「飛行前確認」が飛行マニュアルに反映された形です。
飛行前確認の具体的な内容についてはこちらの記事を参考にください。
②飛行させる場所が緊急用務空域に指定されていないことを確認する。
航空法施行規則第236条の71の4項の「無人航空機を飛行させる者は、その飛行を開始する前に、当該無人航空機を飛行させる空域が緊急用務空域に該当するか否かの別を確認しなければならない。」という記載が反映された形です。
緊急用務空域とは、災害等の発生時に、警察、消防活動などの緊急用務を行うため、航空機の飛行が想定される場合に、無人航空機の飛行を原則禁止する空域(緊急用務空域)が一時的に指定される場所です。
国交省HPのトップページやTwitterで確認することができます。
(3)5m/s以上の突風が発生するなど、無人航空機を安全に飛行させることができなくなるような不測の事態が発生した場合には即時に飛行を中止する。
「平均的な風速が5m/s未満」であっても、「風速5m/s以上の突風」が発生した場合は、飛行を中止することと記載があります。
機体性能上、風速5m/s以上での飛行が可能であっても、航空局標準マニュアルを利用した場合は、風速5m/s以上の突風が生じる状況下では飛行させることができません。
空撮などの撮影日が限られている場合は、気象によって飛行ができない事態が生じてしまう可能性がありますので、上記事態が発生した場合であっても飛行を行う必要がある場合は独自マニュアルを作成する必要があります。
(4)多数の者が集合する場所の上空を飛行することが判明した場合には即時に飛行を中止する。
飛行の前に、その付近には何があるか、イベントなどは開催されていないか等を確認しましょう。
イベント等が開催されていた場合は、個別申請を行う必要があります。
よくある間違いとして、「住所を確認し参加者を特定すればイベントにはならない」という解釈がありますが、これは誤りです。
「不特定多数」ではなく「多数」の者が集まる催し場所が規制の対象で、住所等で人を特定しても、それだけでは関係者の定義には当てはまらないからです。
(5)アルコール又は薬物の影響により、無人航空機を正常に飛行させることができないおそれがある間は、飛行させない。
当然ではございますが、お酒等を飲んで飛行させることを禁止しています。
「アルコール」とは、アルコール飲料やアルコールを含む食べ物も指します。
また薬物には麻薬や覚醒剤等の規制薬物に限らず、頭痛薬や点眼薬などの医薬品も含まれます。
またアルコールの体内濃度については、「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」という資料にて「体内に保有するアルコール濃度の程度にかかわらず体内にアルコールを保有する状態では無人航空機の飛行を行わないこと。」と記載がありますので、一滴でもお酒を飲んだら、飛行はやめましょう。
この項目を順守しない飛行は、航空法第132条の86の1項1号の違反となります。
(6)飛行の危険を生じるおそれがある区域の上空での飛行は行わない。
具体的な場所についての記載はありませんが、一般的に危険と判断される場所での飛行はやめましょう。
例としては空港や原子力発電所などです。
そのような場所は多くの場合で別の法律で飛行が禁止されております。
(7)飛行前に、航行中の航空機を確認した場合には、飛行させない。
飛行前に飛行機やヘリコプターを確認した場合は、飛行を中止しましょう。
近くに空港やヘリポートがないか確認することをおすすめします。
(8)飛行前に、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行う。
飛行前に、他のドローンや無人ヘリを確認した場合の対策について記載があります。
(7)では飛行機等に言及していたため飛行していたら問答無用で「飛行中止」となっておりましたが、(8)はドローン等の無人航空機について言及しているので、まずは他のパイロットと調整をして、飛行するか判断しなさいというニュアンスとなっております。
(9)飛行中に、航行中の航空機を確認した場合には、着陸させるなど接近又は衝突を回避させる。
飛行中に飛行機やヘリコプターを確認した場合は、飛行を中止しましょう。
(10)飛行中に、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、当該無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させる。その他衝突のおそれがあると認められる場合は、着陸させるなど接近又は衝突を回避させ、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行う。
飛行中に、他のドローンや無人ヘリを確認した場合の対策について記載があります。
こちらもまずは、飛行を中止し、他のパイロットと調整をしたうえで、飛行の判断をしなさいというニュアンスです。
(11)不必要な低空飛行、高調音を発する飛行、急降下など、他人に迷惑を及ぼすような飛行を行わない。
不必要に騒音を発したり、急降下させたりする飛行は、周囲に不快感を与えるだけでなく、航空機の飛行の安全や人や物件の安全を損なう可能性が高いです。
「他人に迷惑を及ぼすような方法」とは、人に向かって無人航空機を急接近させること等が挙げられます。
(12)物件のつり下げ又は曳航は行わない。
「機体にロープを取り付け向こう岸に渡すこと」「機体に垂れ幕を取り付け演出を行う」などといった飛行は物件のつり下げに該当します。
このような飛行を行う場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
なおこのような機能を実装するには基本的に改造が必要ですので、改造申請と併せて独自マニュアルを作成することになります。
(13)十分な視程が確保できない雲や霧の中では飛行させない。
このような状況下では機体を目視することが難しく、モニターから外の様子を確認することも困難なため、非常に危険な飛行となります。
(14)「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に従い、定期的に機体の点検・整備を行うとともに、点検・整備記録を作成する。
飛行日誌の点検整備記録を怠らないようにと記載があります。
詳しくは「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」を参考にしてください。
(15)「無人航空機の飛行計画の通報要領」に従い、あらかじめドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)を用いて飛行計画を通報する。また、飛行経路に係る他の無人航空機の飛行計画の情報について当該システムを用いて確認する。
飛行計画の通報について記載があります。
詳しくは「【図解】ドローンの飛行計画の通報の方法」をご覧ください。
(16)「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に従い、飛行の都度、飛行の実績を記録する。
飛行日誌の飛行記録の作成について記載されています。
詳しくは「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」を参考にしてください。
(17)「無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領」に定める事態が発生した場合には、当該要領に基づき、許可等を受けた飛行に関してはこれを許可等した官署に対し、また、許可等を受けていない飛行に関しては飛行経路を管轄する官署に対し、ドローン情報基盤システム(事故等報告機能)を用いて速やかに報告する。
事故やトラブルが発生した場合は、国交省に報告を行うことと記載があります。
事故の報告方法については、「【図解】事故等の報告の方法」を参考にしてください。
(18)負傷者の救護が必要な事態が発生した場合は、直ちに無人航空機の飛行を中止し、「無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領」に示す救護措置を行う。
負傷をさせてしまった場合についての記載があります。
詳しくはこちらをご覧ください。
(19)飛行の際には、無人航空機を飛行させる者は許可証又は承認書を原本又は写しを携行する。
飛行の際は、許可承認書を携行しましょう。
3. 安全を確保するために必要な体制
無人航空機を飛行させる者及び補助者の役割分担、その他無人航空機の飛行に係る安全管理体制に関する事項が記載されています。
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
(1)場所の確保、周辺状況を十分に確認し、第三者の上空では飛行させない。
2-8 無人航空機を飛行させる者が遵守しなければならない事項(1)(2)と同じことが書いてあります。
(2)風速5m/s以上の状態では飛行させない。
10分間平均風速が5m/s以上の場合は飛行させることができません。
機体性能上、風速5m/s以上の飛行が可能であっても、航空局標準マニュアルを利用した場合は、風速5m/s以上で飛行させることはできません。
空撮などの撮影日が限られている場合は、気象によって飛行ができない事態が生じてしまう可能性がありますので、風速5m/s以上の状態であっても飛行を行う必要がある場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
(3)雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない。
雨の日など、ドローンの飛行に影響を与える可能性がある場合は飛行することができません。
標準マニュアルでは、たとえ防水性能の要する機体であっても、雨や雨になりそうな状態で飛行させることができないため、
防水ドローン等で雨の日にも飛行させる可能性がある場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
(4)十分な視程が確保できない雲や霧の中では飛行させない。
2-8 無人航空機を飛行させる者が遵守しなければならない事項(13)と同じことが書いてあります。
(5)飛行させる際には、安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとる。なお、塀やフェンス等を設置することや、第三者の立入りを制限する旨の看板やコーン等を飛行範囲や周辺環境に応じて設置することにより立入管理区画を明示し、第三者の立入りを確実に制限することができる場合は、これを補助者の配置に代えることができる。
特定飛行時は補助者の配置が必要になる根拠はここにあります。
この記述を分解すると以下のようになります。
①飛行させる際には、安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとる。
これは記載のとおり、補助者を配置するということで、原則的な立入管理措置となります。
②なお、塀やフェンス等を設置することや、第三者の立入りを制限する旨の看板やコーン等を飛行範囲や周辺環境に応じて設置することにより立入管理区画を明示し、第三者の立入りを確実に制限することができる場合は、これを補助者の配置に代えることができる。
これは第三者の立入りを確実に制限することができることを前提に「塀、フェンス、看板、コーン」などで立入管理区画を明示する立入管理措置です。
②ができる場合は、包括申請で目視外飛行を行うとき、人口集中地区、夜間飛行や30m接近飛行を行うときにも補助者を配置する必要はありません。
包括申請において、補助者を配置しない場合は上記のとおり確実に立ち入りを制限できる必要があるため、現実的には飛行範囲は狭くなります。
山間部や河川、海上などで広範囲を目視外飛行する場合は、包括申請ではなく、レベル3以上による個別申請が必要となります。
(6)補助者は、飛行範囲に第三者が立ち入らないよう注意喚起を行う。
地上リスクに対して、補助者の行うべき対策が記載されています。
計画した飛行経路内に第三者が入らないように目を光らせ、注意を呼び掛ける必要があります。
特定飛行中のドローンの飛行経路内に第三者の立ち入り、またはその恐れを確認したときは、以下の操縦者は以下のいずれかの処置を講ずる必要があります。(航空法第132条の87_第三者が立ち入つた場合の措置)
(7)補助者は、飛行経路全体を見渡せる位置において、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視し、操縦者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行う。
空中リスクについて、補助者の行うべき対策が記載されています。
以下のことを監視しましょうということです。
- ドローンの飛行状況
- 周囲の気象状況の変化
- 有人航空機、無人航空機の監視
(8)ヘリコプターなどの離発着が行われ、航行中の航空機に衝突する可能性があるような場所では飛行させない。
空港付近やヘリポート付近などで、航行中の航空機に衝突する可能性があるような場所では飛行をやめましょう。
このような場所は航空法上の許可が必要になるケースが多いです。
(9)第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。ただし、当該施設から飛行の依頼があった場合は、休校日、休診日、早朝など第三者が往来する可能性が低い時間帯とし、飛行経路を当該施設内に限定した上で、一定の広さのある場所を飛行させるものとする。また、経路下における第三者の立ち入りについて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止するほか、突風などを考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
原則「第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などでの飛行」は禁止されています。
但し、以下の条件下であれば、飛行をさせることが可能です。
但し書きの条件として、補助者の配置が必要となっておりますので、補助者なしで飛行を行う場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
「一定の広さ」についても「その付近の定義」と同じ考え方で解釈するとよろしいと思います。
(10)高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。
上記場所とその付近での飛行は禁止されています。
万が一ドローンが落下した場合、交通に重大な影響が及び、非常に危険な事態に陥ることが想定されるためです。
ここでポイントとなるのが、「①交通量の多い一般道の定義」と「②その付近の定義」です。
航空法上、いずれも定義はされていませんが、告示、通達から当社では以下のように定義付けています。
①交通量が多い一般道の定義
「何台から交通量が多い道路になる」というような明確な基準はありません。
ただし、航空法第132条の87の第三者が立ち入つた場合の措置が現実的にできるかどうかを判断基準とすることをおすすめしています。
例えば、道路上で飛行を行っているときに、補助者が飛行経路内に車の進入の恐れがあることを確認し、操縦者にそれを伝え、未然に飛行の中止や経路変更などができる交通量であれば、交通量の多い道路とは判断されにくいです。
このように解釈に迷った場合は、航空法、航空法施行規則に立ち返って判断することをおすすめしております。
リーガライト行政書士法人は航空法を熟知しており、相談実績も豊富です。
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②その付近の定義
その付近についても何mからその付近に該当するかの基準はありません。
ただし、航空局「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」の資料を踏まえると「ドローンの直下+落下分散範囲」の内側が「その付近」に該当すると判断できます。
落下分散範囲の計算方法は法定されておりませんが、リーガライト行政書士法人のeラーニングを導入しているドローンスクールで詳しく学ぶことができます。
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(11)高圧線、変電所、電波塔、無線施設などの施設上空及び付近では飛行させない。ただし、高圧線、変電所、電波塔、無線施設などの施設点検等の業務として飛行が必要な場合は、飛行範囲を限定し、不必要な飛行をさせないようにする。さらに、一定の広さのある場所を飛行させるとともに、経路下における第三者の立ち入りについて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止する。また、突風、電波障害など不測の事態を考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
原則「高圧線、変電所、電波塔、無線施設などでの飛行」は禁止されております。
これは電波干渉による操縦不能のリスク、電線等への衝突リスクが高いためです。
※実運用上も、これらのエリアでの墜落報告が多い印象です。
但し、以下の条件下であれば、高圧線、変電所、電波塔、無線施設でも飛行が可能です。
但し書きの条件として、施設点検等の業務であること、補助者の配置が必要となっておりますので、空撮や補助者なしで飛行を行う場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
また、ここでいう「付近」についても定義はありませんが、落下分散距離ではなく、電波の影響範囲を考慮して判断すべきと思いますので、落下分散距離よりは大きく捉えることをおすすめしております。
「高圧線」は住宅地・山間部など場所を問わず設置されているので、注意しましょう。
(12)飛行場所付近の人又は物件への影響をあらかじめ現地で確認・評価し、補助員の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う。
飛行前に現地調査をするようにと記載があります。
(13)人又は物件との距離が 30m以上確保できる離発着場所を可能な限り選定するとともに、周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する。
「30m接近飛行の承認」を取得していた場合も、ドローンの「離着陸時」は、ドローンの周囲30mの範囲内には、原則、人や物件が存在しないことが飛行の条件となります。
この項目は、たとえ「30m接近飛行の承認」を取得していた場合も遵守しなければいけません。
ただし、現実的に離着陸地点の半径30mに何もない状態というのは、なかなかありません。
加えて「可能な限り」という曖昧な表現となりますので、住宅地・道路付近での飛行など、直径60m以上の離着陸場所が確保できないことが多い場合は、後々のトラブルを避けるため、明確に「確保できない場合の対策」を明記しておくことをおすすめします。

(14)飛行場所に第三者の立ち入り等が生じた場合には速やかに飛行を中止する。
飛行経路内に第三者が立ち入った場合、安全のため、飛行を中止します。
こちらは航空法第132条の87の第三者が立ち入つた場合の措置がマニュアルに反映された形となります。
(15)人又は家屋が密集している地域の上空では夜間飛行は行わない。
たとえ「人口集中地区の許可」と「夜間飛行の承認」の両方を取得したとしても、この組み合わせで飛行させることはできません。
この組み合わせを行う場合は、包括申請の独自マニュアルでは対応ができないため、以下の対応が必要です。
係留飛行については、以下の記事を参考にください。
(16)人又は家屋が密集している地域の上空では目視外飛行は行わない。ただし、業務上、やむを得ず飛行が必要な場合は、常時操縦者と連絡を取り合うことができる補助者の配置を必須とし、飛行範囲を限定して不必要な飛行をさせないようにする。さらに、一定の広さのある場所を飛行させるとともに、経路下における第三者の立ち入りについて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止する。また、突風などを考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
原則、「人口集中地区×目視外飛行」は禁止されています。
航空法では「目視により常時監視して飛行させること」と定められており、原則、一瞬でもモニターを見た場合は、目視外飛行となります。※バッテリー残量の確認等、安全飛行のためドローンから一瞬目を離すことは目視外飛行には当たりません。
但し、以下の条件下であれば、この組み合わせも飛行が可能です。
但し書きの条件として、補助者の配置が必要となっておりますので、補助者なしで「人口集中地区×目視外飛行」を行う場合は、独自マニュアルを作成する必要があります。
「一定の広さ」については「その付近の定義」と同じ考え方で解釈するとよろしいと思います。
(17)夜間の目視外飛行は行わない。
たとえ「夜間飛行の承認」と「目視外飛行の承認」の両方を取得したとしても、この組み合わせで飛行させることはできません。
この組み合わせを行う場合は、包括申請の独自マニュアルでは対応ができないため、以下の対応が必要です。
個別申請で「人口集中地区×目視外飛行×夜間飛行」を行う場合は、飛行経路に加えて、飛行日時も特定する必要があります。
3-2 人又は家屋の密集している地域の上空における飛行又は地上又は水上の人又は
物件との間に30mの距離を保てない飛行を行う際の体制
「人口集中地区での飛行」「30m接近飛行」を行う場合に追加で守るべき項目です。
(1)飛行させる無人航空機について、プロペラガードを装備して飛行させる。装備できない場合は、第三者が飛行経路下に入らないように監視及び注意喚起をする補助者を必ず配置し、万が一第三者が飛行経路下に接近又は進入した場合は操縦者に適切に助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとる。3-1(5)に示す飛行範囲への第三者の立入管理措置を行う場合には、補助者の配置に代えることができる。
この項目は大きく3つにわけることができます。
①飛行させる無人航空機について、プロペラガードを装備して飛行させる。
原則的に「人口集中地区」「30m接近飛行」を行う場合は、プロペラガードを装備します。
②装備できない場合は、第三者が飛行経路下に入らないように監視及び注意喚起をする補助者を必ず配置し、万が一第三者が飛行経路下に接近又は進入した場合は操縦者に適切に助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとる。
プロペラガードは飛行性能の低下や風の影響を受けやすくなるため、装備しないと申請した場合は②を守ることとなります。
ただし、①プロペラガードを装備したからといって、航空法第132条の87の第三者が立ち入つた場合の措置がありますので、補助者の配置などの立入管理措置をしなくていい、飛行経路下に第三者が進入しても飛行を中止しなくていいというわけではありません。
質問 | 国交省回答 |
---|---|
①と②の違いを教えてください。 | ②については、プロペラガードなしの場合でもその安全性が担保できるよう更に体制を強化させる(例えば、補助者を増員させる等)ニュアンスが込められております。 上記のような追加の体制も含め、無人機を飛行させる環境に応じて申請者の方が飛行のリスクを事前検証した上で追加的な安全上の措置を講じて頂くこととなります。 |
③3-1(5)に示す飛行範囲への第三者の立入管理措置を行う場合には、補助者の配置に代えることができる。
3-1(5)に示す飛行範囲への第三者の立入管理措置とは、第三者の立入りを確実に制限することができることを前提に「塀、フェンス、看板、コーン」などで立入管理区画を明示する立入管理措置です。
この場合も「人口集中地区」「30m接近飛行」でプロペラガードがなくても補助者を配置せずに飛行が可能です。
DIPS申請時に「プロペラガードを装備する」にチェックをした場合
▼下画像のようにDIPS申請時に「プロペラガードを装備する」にチェックをした場合は、飛行マニュアルの記載に関わらず装着が必須となります。

▼当社では現場の状況に応じて、プロペラガードの装備を柔軟に判断できるように申請しております。


(2)無人航空機の飛行について、補助者が周囲に周知を行う。
「人口集中地区」「30m接近飛行」では周囲に第三者が存在する可能性が高いため、補助者が周囲にドローンの飛行を知らせることが求められています。
3-3 夜間飛行を行う際の体制
「夜間飛行」を行う場合に追加で守るべき項目です。
(1)夜間飛行においては、目視外飛行は実施せず、機体の向きを視認できる灯火が装備された機体を使用し、機体の灯火が容易に認識できる範囲内での飛行に限定する。
夜間の飛行では、操縦者が灯火の見える範囲内で飛行するということです。
(2)飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する。
夜間飛行の際、例えば高度50m飛行させる場合は、ドローンの真下の地点を中心に半径50mの範囲を第三者立入禁止区画にしなければいけません。高度100mで飛行する場合は、半径100mが立入禁止区画となります。
ドローンを中心に半径○○mではありませんので、注意しましょう。
標準マニュアルを使用した場合、立入管理区画となる半径内が大きくなるため、周囲に住宅や道路がある場合は、補助員の大幅増員や看板の設置コストがかさむ可能性があります。
現実問題、標準マニュアルで夜間飛行ができる場所はかなり限られることとなります。
このような状況下での飛行が困難な場合は独自マニュアルを作成する必要があります。

(3)操縦者は、夜間飛行の訓練を修了した者に限る。
この項目は許可申請時にチェックされます。
(4)補助者についても、飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと。3-1(5)に示す第三者の立入管理措置等を適切に講じることにより、補助者の配置に代えることができる。
補助者もドローンの性能を理解しておく必要があります。
LED点滅パターンの意味や各機器の説明をしておきましょう。
3-1(5)に示す飛行範囲への第三者の立入管理措置とは、第三者の立入りを確実に制限することができることを前提に「塀、フェンス、看板、コーン」などで立入管理区画を明示する立入管理措置です。
この場合も「夜間飛行」で補助者を配置せずに飛行が可能です。
(5)夜間の離発着場所において車のヘッドライトや撮影用照明機材等で機体離発着場所に十分な照明を確保する。
夜間飛行の際は、離着陸場所をしっかりと照らしましょう。
ホームセンター等で売っている充電式のポータブルライトがおすすめです。
3-4 目視外飛行を行う際の体制
「目視外飛行」を行う場合に追加で守るべき項目です。
(1)飛行の前には、飛行ルート下に第三者がいないことを確認し、双眼鏡等を有する補助者のもと、目視外飛行を実施する
2-8(1)のとおり、第三者の上空を飛行させることはできないため、この確認を行う必要があります。
この記述からも、包括申請の目視外飛行では現実的には、飛行経路が狭まる傾向があります。
機体のカメラを用いて第三者がいないことを確認しながら飛行させる方法はレベル3.5飛行となるため、広範囲を目視外飛行で飛行させる必要がある場合は以下の記事を参考にください。
(2)操縦者は、目視外飛行の訓練を修了した者に限る。
この項目は許可申請時にチェックされます。
(3)補助者についても、飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと。3-1(5)に示す飛行範囲への第三者の立入管理措置を行う場合には、補助者の配置に代えることができる。
補助者もドローンの性能を理解しておく必要があります。
機体の前後の確認方法や各機器の説明をしておきましょう。
3-1(5)に示す飛行範囲への第三者の立入管理措置とは、第三者の立入りを確実に制限することができることを前提に「塀、フェンス、看板、コーン」などで立入管理区画を明示する立入管理措置です。
この場合も「目視外飛行」で補助者を配置せずに飛行が可能です。
3-5 危険物の輸送を行う際又は物件投下を行う際の体制
「危険物の輸送」「物件投下」を行う場合に追加で守るべき項目です。
(1)3-1に基づき補助者を適切に配置し飛行させる。3-1(5)に示す飛行範囲への第三者の立入管理措置を行う場合には、補助者の配置に代えることができる。
「3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制」に記載されている補助者の配置を遵守することと記載があります。
ただし、第三者の立入りを確実に制限することができることを前提に「塀、フェンス、看板、コーン」などで立入管理区画を明示することができれば、「危険物輸送」についても補助者を配置せずに飛行が可能です。
(2)危険物の輸送の場合、危険物の取扱いは、関連法令等に基づき安全に行う。
危険物の取扱いについて、それを定める法律に従い、安全に輸送することと記載があります。
(3)物件投下の場合、操縦者は、物件投下の訓練を修了した者に限る。
この項目は許可申請時にチェックされます。
3-6 非常時の連絡体制
(1)あらかじめ、飛行の場所を管轄する警察署、消防署等の連絡先を調べ、2-8(17)に掲げる事態が発生した際には、必要に応じて直ちに警察署、消防署、その他必要な機関等へ連絡するとともに、別表のとおり許可等を行った国土交通省航空局安全部無人航空機安全課、地方航空局保安部運航課又は空港事務所まで報告する。なお、夜間等の執務時間外における報告については、24 時間運用されている空港事務所に電話で連絡を行う。
あらかじめ、警察署や消防署の連絡先を調べることと記載されています。

警察署と消防署は国土情報ウェブマッピングシステムから調べることができます。
管轄範囲の項目をクリックすると飛行場所の管轄している警察署または消防署を見つけることができます。
また、非常時には警察や国交省、最寄りの空港事務所などに連絡するようにと記載があります。
【動画解説】飛行マニュアルを守る根拠と例外にする方法
航空局標準マニュアルおよび飛行マニュアルについて、守る根拠と例外となる場合について徹底解説しています!
0:00 ダイジェスト
0:49 なぜ守る必要があるか
2:30 飛行マニュアルの根拠
5:05 許可承認不要のとき飛行マニュアルは適用される?
5:37 許可承認が不要な4つのケース
6:17 特定飛行ではない飛行
6:52 係留飛行
7:39 技能証明+機体認証
9:16 特例飛行
10:15 まとめ
まとめ:航空局標準マニュアルは制限が多いことに注意
航空局標準マニュアルはあくまでも標準的なマニュアルであるため、包括申請であっても飛行場所・飛行方法が制限されてしまいます。
業務でドローンを利用する場合は、様々なフライト案件に対応できるよう独自のマニュアルを作成することをおすすめします。
独自マニュアルを作成する場合は必要な許可・承認に合わせて、本ページや国交省標準マニュアルを参考に作成しましょう。
当社は2016年7月29日に航空局標準マニュアルが公開されてからすぐに、標準マニュアルが実務運用上問題になるほど制約が多いことに気づき、業界で初めて独自マニュアルの作成を行いました。
そこから日々、独自マニュアルをアップデートしております。
独自マニュアルのパイオニアだからこそ、当社は常に業界の一歩先を歩んでおります。
許可を取得しても注意が必要!
ドローンの許可承認を取得した後も、立入管理措置、飛行マニュアルによる制限、小型無人機等飛行禁止法、条例、民法など意外と多くの注意事項が存在します。
このような事項を知らなかったことにより「法令違反をしてしまう可能性」もありますが、逆に全貌がわからず「飛行を躊躇してしまう」方も多いかと思います。
そのようなことがないよう当社では、何ができて、何ができないのかをしっかり伝え、法律の範囲内で最大限ドローンを活用できるよう申請代行を行なっています。
また許可取得後の不明点も解決できるように、包括申請をご依頼いただきましたお客様には無償付帯行政書士顧問サービスが付いてきます!

お客様のDIPSアカウントから申請いたしますので、1年目はしっかりとした知識・申請で許可を取得し、2年目以降はご自分で更新される方もいらっしゃいます!
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執筆者:
行政書士 中島北斗
ドローンの規制(改正航空法)が始まった2015年当初からドローン申請業務を行っている行政書士が、ドローン法令の遷移を生で感じていたからこそわかる、リアルで正確性な情報を発信いたします。
ドローン許可取得実績は14,000件、相談実績は18,000件、また80校を超えるドローンスクールの顧問をしています。
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