行政書士 中島北斗
ドローンを海で飛行するために許可は必要でしょうか。
結論から申し上げますと、航空法や小型無人機等飛行禁止法で禁止されている場所・飛行方法でなければ、原則、許可は必要ありません。しかしながら、飛行する場所によっては管理者からの飛行の承諾や事前連絡が必要になります。
この記事では「海におけるドローンの規制」「海上、海岸、港の管理者を調べ方」などを解説していきます。
海でも航空法や小型無人機等飛行禁止法は適用される
ここでは航空法による規制(人口集中地区、目視外飛行)、小型無人機等飛行禁止法による規制に該当しない海での飛行を想定しております。
海上で目視外飛行や夜間飛行を行う場合は、航空法上の許可が必要になりますので、注意です。
ドローン飛行が許可不要な理由は、海は原則、みんなのもの
「海は誰のものか」
この問いに対して、最高裁は「海は誰の所有物ではないよ」と判決を出しています。(最判昭和61年12月16日、愛知県田原湾干潟訴訟)
そのため、原則的に海は自由に利用することができます。
しかし、公共の利益のため、そこで何かを行う権利(管理者)の存在までを否定しているわけではありません。
そのため、管理者がいる海では、ドローンを飛行する際にはその管理者からの承諾は必要になります。
海は航路、海岸、港、それ以外に分けられる
それではどのような海に管理者はいるでしょうか。
そのためにまず海を以下の4つに分けて考えてみましょう。
※分かりやすさを重視のため、辞書の意味とは異なりますことご理解お願い申し上げます。
「航路」上での飛行は許可は必要ないが、管理者の承諾は必要
航路を設定する法律として、「港則法」「海上交通安全法」が挙げられます。
港則法や海上交通安全法におけるドローンの取り扱いについては、以下のようなガイドラインが出ております。
神戸海上保安庁からも以下のようなアナウンスが出ておりますので、もしよろしければ参考にしてください。
https://www.kaiho.mlit.go.jp/05kanku/kobe//drone.html
ただし、海上に船を配置したり、工作物を設置するなど、船舶交通に影響を及ぼすおそれがある場合は、港則法又は海上交通安全法の許可又は届出を行う必要があります。
航路管理者の調べ方
航路の管理者は海上保安庁となります。
管轄の海上保安庁は以下の手順で調べることができます。
【航路管理者の調べ方】
① 海洋状況表示システムにアクセス
② 航路を表示
③ 確認したい航路をクリック
④ 海上保安庁の管区一覧にアクセス
⑤ 電話番号を確認する
⑤ 先ほど確認した航路名上で飛行したい旨を伝える
「海岸」は保全区域、海水浴場、それ以外に分けられる
海岸は海岸法に基づく「海岸保全区域」と「海水浴場」と「それ以外」に分けることができます。
海岸保全区域の調べ方
海岸保全区域を調べるにはQGISというソフトを利用します。
【海岸保全区域の調べ方】
① QGISをインストール
国土数値情報 閲覧マニュアル(QGIS)マニュアルを参考にQGISをインストールします。
※17Pの地理院地図の読み込みもお忘れなく。
② 海岸保全施設データをダウンロードする
国交省の国土数値情報ダウンロードサービスから対象の都道府県の海岸保全施設データをダウンロードします。
③ データを解凍する
ダウンロードしたデータはZIP形式なので、解凍しておきます。※ファイルを右クリックして「すべて展開」で解凍できます。
④ QGISにデータを読み込ませる
⑤ 管理者に問い合わせ
飛行場所が保全区域に該当していた場合は、「○○県 海岸保全区域」と検索して、管理者を見つけ、飛行したい旨を伝えます。
海水浴場の管理者の調べ方
【海水浴場の管理者の調べ方】
① 海洋状況表示システムにアクセス
② レジャー施設を表示
③ 確認したい場所をクリック
④ 管理者をGoogle検索する
※管理者リンクがある場合はそちらをクリックします。
⑤ 電話番号を確認して、飛行したい旨を伝える
その他の海岸の場合は市町村役場に問合せ
海岸保全区域、海水浴場以外の海岸の場合は、その場所の都道府県、市町村役場に問合せをしましょう。
事前の報告だけで済むケースが多いです。
「どうぞ安全に飛行してください」とよく言われます。
「港」での飛行は管理者の承諾が必要
港で飛行する場合も、許可は必要ありませんが、管理者からの飛行の承諾が必要です。
港則法の適用される港であっても許可は不要というガイドラインが出ておりますが、管理者からの飛行の承諾が必要です。
港の管理者の探し方
海岸、港、航路以外の海上に管理者はいない
これまでご説明しました海岸、港、航路以外の海上に、基本的には管理者は存在しません。
そのため、飛行許可というものはありません。
しかしながら、万が一のためにも、海上保安庁への事前連絡をおすすめします。
海上保安庁の管轄は以下のURLから確認できます。
https://www.kaiho.mlit.go.jp/syoukai/kanku/index.htm
まとめ:海でのドローン飛行は許可は不要だが、管理者からの承諾は必要
海でのドローン飛行にまつわる規制についてのまとめです。
航空法や小型無人機等飛行禁止法で禁止されていない場所・飛行方法においては、以下のようになります。
登録が不要なケース
その他の飛行場所での許可の有無とその調べ方を下記記事にまとめています。
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執筆者:
行政書士 中島北斗
ドローンの規制(改正航空法)が始まった2015年当初からドローン申請業務を行っている行政書士が、ドローン法令の遷移を生で感じていたからこそわかる、リアルで正確性な情報を発信いたします。
ドローン許可取得実績は9,000件、相談実績は11,000件、また50校を超えるドローンスクールの顧問をしています。
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